CLASSIC音楽 不朽の名盤 バイヤーズガイド☆クラシックの名盤・廉価盤情報サイト☆

クラシック音楽CDから、不朽の名盤(&廉価盤)にふさわしいものを点数付で紹介してゆくブログです。初心者の方も歓迎です。新潟でのコンサートレビューもあります

シベリウス ヴァイオリン協奏曲 ムター(vn)&プレヴィン指揮ドレスデン・シュターツカペレ


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ヴァイオリン協奏曲の傑作として、このごろ特に、演奏会で採りあげられることが多いシベリウス。
実演で聴く機会がとても多いのは、この曲の評価が高まってきていることを感じさせます。
チャイコフスキーやベートーヴェンと較べるといささか地味ながら、彼らしいリリシズムと北欧的な詩情、繊細美麗な音楽は、一度聴いたら虜にさせられてしまう魅力を持っているのです。

ここに聴くのは、ムターがプレヴィンと録音したもので、夫であった指揮者と、彼の愛していたドレスデンのオーケストラ(シュターツカペレ、ドレスデン国立歌劇場管弦楽団)が、まさに渾身の音楽体となって、すこぶる充実した演奏を聴かせてくれるものです。

シベリウスの音楽は、私が冒頭に書いたような、リリシズム、あるいはフィンランドの自然を写しこんだような、乾いて冷涼な空気感を持っている、と評されることが多いです。
もちろんそれは事実であって、そのことが、北国生まれの私を強くひきつけるのも事実ながら、その内奥に、たぎるような情熱と、羞恥心によって隠されてしまっているロマンティシズムの根が張られております。
それがいわば重要な複線となって、彼の作品全体を、ただの環境音楽にしないだけの役割を果たしていますし、そこには【秘められたもの】特有の淫靡で禁断めいた香気さえ、ときに感じさせたりもするのです。

ムターのヴァイオリン演奏は、まさにこのコンチェルトの本質を衝いています。
冷涼で凛とした演奏をすれば、見かけはシベリウスらしいものが出来上がってきますから、そうした奏者に、実演で出会うことも多いわけですが、そのときに感じてしまう物足りなさは、前述の【秘められたる魂】への配慮のなさ、に起因するとも思うのです。

ムターの豊潤で熱気に満ちたヴァイオリンを、シベリウスらしくない、と言い切ってしまうのは、ですから誤謬であって、むしろこの曲の名盤といわれる、ハイフェッツ、チョン・キョンファらも、やはり抑えきれぬほど烈しい感情の疾走によって演奏を形作っていたものでした。

第一楽章14:30からのムターの凄絶ともいえる音楽と、それを盛り立てるプレヴィンのオーケストラとの絶妙すぎるほどの呼吸は、私が他のいかなる演奏にも求めて得られなかっただけのものですし、いってみれば度肝を抜かれるという表現に行き着くだけのエネルギーがあります。

第二楽章はむしろオーケストラの華麗ですが精細であるという素晴らしい音色が聴かれ、ムターの慈しむように歌うヴァイオリンと絡み合って、この世ならぬ桃源郷の美しさを表現するかのように陶酔的で、幻想的です。

第三楽章では、例の舞曲的テンポに乗って、魂が駆けてゆくような興趣であって、いささか前半の二楽章に比して出来栄えは劣る音楽ながら(それはシベリウスの筆の問題です)、そうした瑕をいっさい感じさせない完全なエンペラースタイルに仕上げていて、技術も、音楽も、情熱も、すべてが充実の極みで、感動的な終末にたどり着くまで、聴き手の心を惹きつけて離しません。

録音もドイツ・グラモフォンの誇る4Dシステムを代表する秀抜さで、これだけのクオリティで収録された名演・名曲はそう多くはないでしょう。弦の弾かれた音のリアリティ、オケの質感、シベリウスらしい広大な空間の表出が見事で、このレーベル屈指のものです。

結果として、価格はやや張りますが、この傑作協奏曲を代表し、またムターを代表するディスクとして、強力に推薦したいと思います。
また、シベリウスを知る上でも、けっして欠かすことのできない名盤であると確信します。
併録されているセレナーデも可憐な名曲で、一聴の価値がありますのでぜひ聴いてみてください。

(録音 1995年)

DISC Recommend
1 演奏 ★★★★★
2 録音 ★★★★★
3 不朽 ★★★★★
4 買得 ★★☆
5 必須 ★★★★★


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シベリウス | コメント:2 | トラックバック:0 |

シシュ ヴァイオリンコンサート(第四銀行株主限定) 2008/7/17於りゅーとぴあ

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☆プログラム☆
クライスラー プニャーニの様式による前奏曲とアレグロ
ラフマニノフ ヴォカリーズ
サン・サーンス 序奏とロンド・カプリチオーソ
クライスラー 愛の悲しみ 愛の喜び
サラサーテ ツィゴイネルワイゼン
フランク ヴァイオリンソナタ
(伴奏P 中島由紀)

第四銀行株主限定ということで、上記のコンサートに行ってまいりました。
マリナ・シシュはフランスの若手ヴァイオリニスト。入りは8割ほど。
まだ27歳ということで、私よりも年下です。オイストラフの孫弟子にあたるそうです。
まったく期待せずに行ったコンサートでしたが、思わぬ拾い物をした気分になりました。

音色は豊潤で、ムターの若い時分を見るような趣もあり、そこにいかにもフランス的猫気質な(というべきでしょうか)気まぐれな気高さを見せていて、きわめて魅力的な奏者でした。
テクニックはまだ未完成な部分も散見され、演劇的にいうなら「発声の子音がときに甘い」ように聴こえる箇所もありましたが、それを補ってあまりある馥郁たる音楽を奏でていて、またその弾き姿も美しく(プログラムの写真よりもずっと)、こんなによいヴァイオリンリサイタルは久しぶりでした。

なかでも内容が充実していたのは『クライスラー プニャーニの様式による前奏曲とアレグロ』で、気品ある音色と、曲との同質性を如実に感じさせる燃焼度の高い音楽で、期待していなかった私をも、一気に自分の世界に引きずり込んでくれたと思います。

ただ、サラサーテでは、伴奏の中島女史との息がいまいちあっておらず、そのせいか技術的ほころびも数箇所聴かれたのは残念でした。
また、後半に置かれた、フランクのソナタは、私がこの曲をいまだに魅力的と思えないため、今回聴いても、どうにも手応えのなさが残る結果とはなりましたが、これは私(聴き手)の問題ですから仕方ないことでしょう。
うちの嫁さんも、ばらばらの小品を繋ぎ合わせたみたいなソナタ、といっておりましたから、私だけの感想でもないとは思うのですが。

ともあれ、全体にはとても上質のコンサートで、また心配していた聴衆マナーも比較的よく(フランクの途中で一度拍手はありましたが)、存分に楽しめました。
すぐれた奏者だと思いますし、これからまだまだ伸びそうです。
シシュは機会があればまた聴きたいですね。

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コンサートレビュー | コメント:0 | トラックバック:0 |

ツィマーマン(ツィメルマン) ピアノリサイタル 2008/7/12 於りゅーとぴあ

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☆プログラム☆
J.S.バッハ:パルティータ ハ短調(第2番)
ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第8番「悲愴」
ブラームス:四つの小品 Op.119
バツェヴィチ:ピアノ・ソナタ第2番

いよいよ現代最高のピアニストのひとりである、ツィマーマンのソロリサイタルが新潟市でも聴ける!
彼の大ファンで、これまで5回にわたりリサイタルに通っているという、私の大学時代の恩師(S教授とします)も他県より遠路駆けつけ、開演を待ちました。
駐車場にも県外ナンバーの車が多いように思えます(熊本、京都なども)。

バッハは、音符のすべて、音楽の隅々にまで、高潔で崇高な感情が息づいているような演奏。
音そのものはきわめてなめらかで、ベルベットのような肌触りなのですが、一方でつねにほのかな暖かさを失うことなく、バッハを聴く喜びを感じさせるピアノでした。

ベートーヴェンは、第一楽章の弱音の美しさに、魂が吸い寄せられるような感動を覚えました。
銀色の月の雫が垂れるような、この世のものならぬ美しさの限りで、このような音楽であったのかと、目をみはる印象でもあり、落涙を禁じえないだけのものがありました。

後半のブラームスは高雅でたおやかな情感を大切にして、緻密ながら音楽性豊かに織り上げられた演奏で、よく弾きこまれていることを実感させました。コヴァセヴィッチに同曲の名演(Philips、1969年)がありますが、その録音に近い印象を与える演奏で、ツィマーマンの円熟を感じさせたものです。

バツェヴィチはたいへんな技量を要求する難曲ですが、その技巧の冴えは素晴らしく、またポーランド作曲家独特のパッションの発露と、女流ならではの繊細なきらめきの音を遺憾なく再現しており、ぜひとも録音してほしいと思わせる名演でありました。

なお、アンコールにはシマノフスキが演奏され、これも白熱したもので、スタンディングオベーションの嵐となりました。

全体にミスタッチを少しも恐れない青年のような果敢さで(それは私が彼に持っていた完璧主義者という先入観を、いい意味で覆してくれるものでした)、崇高な音宇宙の世界を表出させており、ツィマーマンのリサイタル初体験の私は、大いに感動・満足して帰路につきました。
ぜひ機会を見つけてまた聴きたいピアニストです。

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チャイコフスキー ピアノ協奏曲第1番&ラフマニノフ ピアノ協奏曲第2番 リヒテル(P)&カラヤン指揮ウィーン交響楽団、ヴィスロツキ指揮ワルシャワ国立フィル


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リヒテルは、ギレリスなどより一世代前に位置するソ連のピアニストです。
不世出の名ピアニストのひとりといっても良いかと思います。
研ぎ澄まされ、極限まで高められた緊張と、妥協を許さない、正確・強靭な打鍵、音楽の深遠まで探り当てるような深みのある表現は、まさにソ連随一の巨匠(かつ、世界的名ピアニスト)という形容にふさわしい音楽家でした。

そのリヒテルの最良の録音と呼べるものが、このCDです。
ほの暗く燃え盛るようなロマンティシズムで壮大かつ幽妙に弾き抜かれているラフマニノフの素晴らしさは、この録音(1959年!)から半世紀が経過した今でも、同曲の決定盤として、君臨しつづけているほどのものです。
きわめて男性的であるのに、リリカルなデリカシーにまったく欠けるところがなく、しかもいたるところにヴィルトゥオーゾ的手腕の発揮が見られて、驚異的な名演を実現しているのです。
とくに第2楽章の瞑想的な美しさは、他に比肩するだけのものがいまだにありません。
ヴィスロツキはほぼ無名の指揮者ですが、ここではむしろ、リヒテルのピアノに影のように追従することで、この名作のオーケストレーションの可憐さをよく出していて好演といえますし、無視されがちなワルシャワ国立フィルの健闘も、私は見逃すべきではないと思います。

ひるがえってチャイコフスキーは、カラヤンが指揮していて、ここでの管弦楽の雄渾壮麗は、数ある同曲の録音のなかでも飛びぬけて素晴らしいものといえます。
おそらく、ウィーン交響楽団にとっても代表的名盤として、不動の地位をここまで維持しているであろう録音で、その響きと技量、音楽のあふれていることには驚かされます。
リヒテルとカラヤンは、たがいに競い合うように(協奏曲→競争曲的に)火花を散らしているなどといわれる演奏ですが、私には必ずしもそうは思えず、むしろ両者が、渾然一体となって、驚異的に美しい音のユニゾンを生成してゆく様が、なんとも感動的です。
おそらく音楽性の本質ということでは相当に差のある両者が、演奏のなかで歩み寄って、偉大なチャイコフスキーの名作を、最良の姿で残すことに使命を帯びている印象があって、いつも聴きつつ心をうたれます。
リヒテルのピアノはロシアの大地に映える秋晴れの空のように広大で青く冴え冴えとしており、カラヤンの指揮は大地を鳴動させる天体の動きを見るように荘厳です。
この曲の決定盤としての地位を、いまも、そしておそらくは今後も、維持してゆくだろうたいへんな名演で、聴くほどに味わいを増すのも、両者とチャイコフスキーの偉大さも現れという気がいたします。

録音はこの年代を考えれば相当クオリティが高く、自然な質感で楽器の音がとらえられていて、普通に聴く分にはなにも問題ないどころか、むしろ最新録音のぎすぎすした音よりよほど好印象です。

これだけの名演が収まって、お札一枚以下というのですから、なにを差し置いても手に入れてほしいマストアイテムといえると思います。


(録音 1959、1962年)

DISC Recommend
1 演奏 ★★★★★
2 録音 ★★★☆
3 不朽 ★★★★★
4 買得 ★★★★★
5 必須 ★★★★★


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チャイコフスキー | コメント:0 | トラックバック:0 |

7/12のツィマーマンの新潟市リサイタル、プログラム情報です

りゅーとぴあからの情報提供。

J.S.バッハ パルティータNO.2
ベートーヴェン ピアノソナタNO.8『悲愴』
ブラームス 4つの小品(作品119)
バツェヴィチ ピアノソナタN0.2

楽しみですね。
目玉はベートーヴェンの8番か、バツェヴィチのようですね。


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