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クラシック音楽CDから、不朽の名盤(&廉価盤)にふさわしいものを点数付で紹介してゆくブログです。初心者の方も歓迎です。新潟でのコンサートレビューもあります

マーラー 交響曲第2番『復活』 メータ指揮ウィーンフィル


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安くて録音・演奏の良い『復活』を紹介して欲しいとリクエストがありました。
そこで、この盤をとりあげます。

マーラーの交響曲第2番『復活』は、彼の作品中でももっとも派手で、いわば演劇的なほど身振りの大きい音楽です。
疑いなく彼の個性が隅々まで発揮されている作品で、その意味ではマーラー入門にも最適です。
しかし、その後もこの曲の魅力にとりつかれる聴き手が多いことを見ると、ただ派手でわかりやすいだけの音楽でないことも無論です。
指揮者にも、この曲を得意にする人が多く、祝祭的な演奏会でよくとりあげられる大曲です。
私も大好きな曲で、仕事でいささか関わったこともあるだけに思い入れも強いです。

メータは、かつてアバド、ケルテスなどともに将来を嘱望された指揮者でした。
これは彼の若き日の名盤で、初出時には、まだすぐれた録音が少なかったこの曲の決定盤として、高く評価されたものでした。
いま聴いても、そのクオリティの高さは大変なもので、当時難曲であったはずの『復活』をここまで表現しているのは、凄いとしかいいようがないです。
おそらくいま新盤としてリリースされても絶賛されるであろう名演で、とくに楽章ごとに見事にキャラクターを書き分けている点には感心されられます。

第一楽章の濃厚な悲劇性の表出も、コントラストのつけ方が見事で、やややりすぎと思えるほどですが(ただしマーラーにはこのくらいでちょうど良いとも思えます)、けっして流れを淀ませたりはしないのもよさのひとつです。
第二楽章のアンダンテは、いかにもウィーン・フィルの良さを出しています。
かと思えば第三楽章ではスリリングな指揮さばきを随所に見せ、飽きさせることがありません。
第四楽章のファンタジックな響きは、聴きながら夢みごこちにさせられます。
最終楽章はまさに音の大伽藍。マーラーの音楽としてもっとも感動的なピースともいえるこの楽章を、メータとウィーンフィルは強度も美しさも充分なサウンドで描きこんでいて、まったく不足するところがありません。
これはたいしたものだと思います。現代の名演とされるものでも、この楽章を充分表現しきっているのは、ほとんどないからです。
それにはウィーンフィルの力も絶大に寄与していると感じられ、若き身でこまでウィーンフィルをドライブしたメータの才能には、舌を巻かざるを得ません。
【最後の審判】以降の素晴らしさは、絶好調時のウィーンフィルのそれであり、声楽が加わることによって、さらなる感動の大団円へと向かってゆきます。
ソロの二人もまたとない美声で、そこに国立歌劇場のコーラスが力強く華を添え、音の洪水に聴き手をいざなってゆくのです。
オルガンが加わっても、けっしてがなりたてるのではなく、大変な共感を呼びおこしながら、すべての音が融合するように運ばれてゆく音楽は、とても感動的です。

録音もいまもって極上で、ほとんど不満を感じさせませんし、リマスターされて鮮度も向上しています。
また、この大曲が一枚に収録されているのも、とてもありがたく感じられますし(他にはほとんどないです)、価格も廉価といえるので、最初の一枚としては絶対のおススメですっ!

(録音 1975年)

DISC Recommend
1 演奏 ★★★★☆
2 録音 ★★★★☆
3 不朽 ★★★★
4 買得 ★★★★☆
5 必須 ★★★★


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補記

なお、メータ盤を上回る『復活』の超名演は、やはりバーンスタイン/ニューヨークフィル盤です。
これが演奏・録音とも究極の名盤ですが、値が張りますので、こっそりおススメしておきます。
練りに練られたもので、メータ盤のようなフレッシュさにこそ欠けますが、すさまじい表現主義の音楽になっており、これ以上の演奏はありません。
今後もこれ以上のものが出る可能性は限りなく低いでしょう。
コストパフォーマンスは低いですがこれ以外のCDがいらなくなると思えば逆にいいかも?

そのうち詳細にレビューします。

☆マーラー 交響曲第2番『復活』 バーンスタイン指揮ニューヨークフィル(1987年録音)

(録音 1987年)

DISC Recommend
1 演奏 ★★★★★
2 録音 ★★★★★
3 不朽 ★★★★★
4 買得 ★★
5 必須 ★★★★★


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マーラー | コメント:7 | トラックバック:0 |

マーラー 交響曲全集 テンシュテット指揮ロンドンフィル(スタジオ録音)


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マーラーの音楽は、現代を先取りしていたかのようです。
彼は生前、作曲家として必ずしも成功したわけではなかったのですが、いまやその人気は、クラシック音楽界では飛びぬけているともいえます。
それはマーラーの音楽が持っている、退廃・都会生活の荒廃・世紀末的様相・美しいものへの惑溺などが、われわれ現代人の問題意識や病態と、ちょっと信じられないほどマッチしたからだとも思います。
『いつか私の時代が来る』と言葉を残したマーラーは、まさにいま、時代の寵児となっているわけです。
また、録音技術・再生技術の進歩で、もともとオーディオ的な魅力に充ちていた彼の作品が、よりクローズアップされてきた側面も無視できません。

クラウス・テンシュテットは、不思議な指揮者です。
東独からの亡命によって、国際的なキャリアをスタートさせた彼は、演奏の素晴らしさで、瞬く間にスターダムを駆け上がってゆきます。
北ドイツ放送響からロンドンフィルの音楽監督へ。
そこで彼は、楽団員から絶大な支持を受け、ロンドンはクレンペラー以来の偉大な指揮者の登場に沸きました。
それでいながら、一期一会の言葉どおり、演奏会には文字通り命をかけるように取り組み、楽屋に戻ってくると、半死半生の様子になっていたともいいます。

『数年前まで、東独の田舎の指揮者でしかなかった私が、いまや世界中で知られ、客演を求められているのは、本当のことなのだろうか。自分のこととして信じられない』
そう述べたともいわれ、いわゆる巨匠的なルーティン・ワークに決して陥ることなく、きわめて燃焼度の高い演奏を常におこなってきた指揮者でした。

まことに残念なことに、テンシュテットはほどなく、病に倒れ(喉頭がん)、実質的な西側での活動期間は、20年にも満たなかったのでしたが、そのなかで唯一、まとまった録音として残されたのが、マーラーの交響曲全集でした。
テンシュテットはとりわけマーラーを得意としてい、また共感も深く、大変な情熱を燃やしていました。
彼の早世は残念きわまることではありましたが、その仕事がこうしていま、まとまって聴けることには感謝したいと思います。

第1番『巨人』などは、カラヤンがこの録音を聴いて感激し、たびたびベルリンフィルの指揮台に招くことになった記念碑的名演ですし、第2番『復活』は彫りの深い壮絶な演奏です。
ほかにも第5番、第6番、第7番、第8番、第9番、第10番は特に素晴らしく(ここに挙がっていない3番、4番も彼の素晴らしいマーラーです)、テンシュテットはマーラーの音楽に潜む不気味な胎動や、暗黒的な力、生への憧憬や、死への恐れなどを、えぐりにえぐって表現し尽くしています。
たとえアダージョであっても、そこには楽天的な歌ではなく、切ないまでの生への希求が音の奔流となって現れ出ているかのようで、背筋が寒くなるような畏怖とともに、別次元の感動をも禁じえません。

マーラーの交響曲全集はあまたありますが、そのもっともシリアス(深刻)な演奏といえ、ひとつの金字塔でもあると思います。
11枚組に収められ、ボックス化されたこのセットは、マーラーの交響曲を聴くうえで、欠かすことのできないアイテムです。
一生物の感動を、与えてくれるものといえますし、ほかの指揮者の演奏を聴いても、また戻ってきてしまうような、懐の深さをも併せ持っている名演といえそうです。
もうひとつの極限シリアス全集(ただしこちらは、積極的前進の精神を前提として持っているシリアスです)であるバーンスタイン盤もむろん素晴らしいですが、価格を考えた場合、数分の一の値段で買えるテンシュテット盤は絶対のお勧めです。
一枚あたりワンコインとは、この超名演に申し訳ないくらいです。

録音は、年代によって多少の差はありますが、満足できるレベルです。
優秀録音とまではいえませんが、大オーケストラの鑑賞をするのに、不足ないレベルといえそうです。
第1番『巨人』のフィナーレなど、とてつもない音の波がおそいかかってくるようです。

(録音 1977-86年)

DISC Recommend
1 演奏 ★★★★★
2 録音 ★★★☆
3 不朽 ★★★★
4 買得 ★★★★★
5 必須 ★★★★☆


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マーラー 交響曲第9番 カラヤン指揮ベルリン・フィル(1982Live)


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カラヤンが晩年(1982)にライブ(たしかベルリン芸術週間)で録ったマーラーの第9。
この曲、私にとっては、特別の愛着があります。
ロマン派の終着点ともいえるし、マーラーの最高傑作で絶筆の作品でもある。
何十枚かこの曲のCDをもっているけど、そのなかでもカラヤンの82年盤はスペシャルな1枚です。

カラヤンはマーラーは、4番、5番、6番、9番(79年、82年)、大地の歌を録音していますが、粗い部分、的外れな音楽もあります。
このなかでは5番は悪くないですが、金管のミスが聴きぐるしい思いがします
(なぜカラヤンは修正しなかったのかな。彼の録音にはたまにある)。

ただ、この第9は違うのです。
ひょっとするとカラヤンのおびただしい録音のなかでも、白眉の一枚かもしれません。
実際、82年以降のカラヤンは、ベルリンフィルとの確執も表沙汰になり、精彩を欠いてきます。
いわば彼の音楽の最後の輝きとでもいうべき内容が、ここにはあるのです。

音楽の美しさは空前のものだし、ライブとは思えないくらい完璧な演奏です。
カラヤンの手にかかると、本来難解で複雑なこの大曲が、急に精緻で聞き手の心に届きやすくなります。
それを彼の芸術の大衆性と批判する方もいますが、むしろカラヤンの音楽の、普遍的な魅力ととらえたほうがわかりやすいのではないでしょうか?
しかも、そうでありながら彼の音楽は、おそるべき深淵をのぞかせるような局面も多々あるのです(それはほかの指揮者では感じられないような深淵でさえあります)。

でも私が魅力を感じるのは、この絶美の音楽の恐るべき無内容、個絶、異質さです。
カラヤンは『私はこの世ならぬ場所から音が聞こえてくる』といったことがある。
だとしたら、これは魔界からの音楽ではないでしょうか。
でなければ、美しすぎるがゆえに孤独を極めたような、このマーラーの生命の源が、理解できないのです。

このCDのブックレットには、
『カラヤンの神がかり的な指揮をもって、マーラーの最高傑作を演奏し、ベルリンフィルの正確無比、録音技術の進歩の結実――というトリニティが、この名盤を生んだ。これ以降、この演奏を聞かずして、マーラーの9番についてなにも語れない。マーラーはこのディスクの出現を予期してこの曲を書いたと思われるほどだ』
というような意味のことが書いてあったように思います(手元にディスクがないのでうろ覚えですが)。

まさに神意を感じさせる録音であり、演奏です。
この一枚の演奏だけでも、カラヤンの名前を不朽とするのに充分でしょう。

(録音 1982年)

DISC Recommend
1 演奏 ★★★★★
2 録音 ★★★★☆
3 不朽 ★★★★★
4 買得 ★★
5 必須 ★★★★★


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マーラー 交響曲第9番 ハイティンク指揮 コンセルトヘボウ管(+子供の不思議な角笛)


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マーラーの9番は名曲中の名曲です。
数ある第九の中でも、特異な存在感を持っているといってよいと思うが、名盤も多い。
バルビローリの高貴な腐敗のような演奏、魔界からの音が聞こえるようなカラヤンのライヴ録音、感情と理性の異様な混濁を音にし尽くしたバーンスタインの録音、古城の夕映えにも似た黄金色に輝くクーベリックの音楽。

そのなかでハイティンク盤は、やや地味な存在かもしれない。
指揮者の存在感も、前記のマエストロに較べて、やはり控えめだ。

だが、その音楽は文句なく素晴らしく、呆然とするほど美しい。
これ見よがしに鳴らない打楽器や金管の音色、つややかな弦楽の響き、いつもヒステリックにならず、交響楽のプロポーションを守っている音楽。
この作品は、最後のロマン派シンフォニーと呼ばれることもあり、たとえばバーンスタインやカラヤンはその線に沿って演奏している。
しかし、ハイティンクはロマン派の確固としたシンフォニーとして、この第九を演奏しているようです。

特に第四楽章の素晴らしさは(どの盤でもそうですが)息をのみます。
DISC2 Track1 16:00-20:00
あまりの美しさに呆然とさせられ、すべての思考能力を奪われてしまうような音楽です。
崩れゆく生命、まさに死にゆきつつある魂、決別の音楽なのだが、そこにはすさまじい美しさに昇華されたマーラーの情念がたゆたっているようです。

録音のふくよかなよさとともに、何度聴いても飽きが来ない、隠れた名盤といえるでしょう。

(録音 1970年)

DISC Recommend
1 演奏 ★★★★
2 録音 ★★★☆
3 不朽 ★★
4 買得 ★★★
5 必須 ★★★


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