シベリウス ヴァイオリン協奏曲 ムター(vn)&プレヴィン指揮ドレスデン・シュターツカペレ2008-07-18 Fri 21:00
![]() ↑HMVのサイトに飛びます ヴァイオリン協奏曲の傑作として、このごろ特に、演奏会で採りあげられることが多いシベリウス。 実演で聴く機会がとても多いのは、この曲の評価が高まってきていることを感じさせます。 チャイコフスキーやベートーヴェンと較べるといささか地味ながら、彼らしいリリシズムと北欧的な詩情、繊細美麗な音楽は、一度聴いたら虜にさせられてしまう魅力を持っているのです。 ここに聴くのは、ムターがプレヴィンと録音したもので、夫であった指揮者と、彼の愛していたドレスデンのオーケストラ(シュターツカペレ、ドレスデン国立歌劇場管弦楽団)が、まさに渾身の音楽体となって、すこぶる充実した演奏を聴かせてくれるものです。 シベリウスの音楽は、私が冒頭に書いたような、リリシズム、あるいはフィンランドの自然を写しこんだような、乾いて冷涼な空気感を持っている、と評されることが多いです。 もちろんそれは事実であって、そのことが、北国生まれの私を強くひきつけるのも事実ながら、その内奥に、たぎるような情熱と、羞恥心によって隠されてしまっているロマンティシズムの根が張られております。 それがいわば重要な複線となって、彼の作品全体を、ただの環境音楽にしないだけの役割を果たしていますし、そこには【秘められたもの】特有の淫靡で禁断めいた香気さえ、ときに感じさせたりもするのです。 ムターのヴァイオリン演奏は、まさにこのコンチェルトの本質を衝いています。 冷涼で凛とした演奏をすれば、見かけはシベリウスらしいものが出来上がってきますから、そうした奏者に、実演で出会うことも多いわけですが、そのときに感じてしまう物足りなさは、前述の【秘められたる魂】への配慮のなさ、に起因するとも思うのです。 ムターの豊潤で熱気に満ちたヴァイオリンを、シベリウスらしくない、と言い切ってしまうのは、ですから誤謬であって、むしろこの曲の名盤といわれる、ハイフェッツ、チョン・キョンファらも、やはり抑えきれぬほど烈しい感情の疾走によって演奏を形作っていたものでした。 第一楽章14:30からのムターの凄絶ともいえる音楽と、それを盛り立てるプレヴィンのオーケストラとの絶妙すぎるほどの呼吸は、私が他のいかなる演奏にも求めて得られなかっただけのものですし、いってみれば度肝を抜かれるという表現に行き着くだけのエネルギーがあります。 第二楽章はむしろオーケストラの華麗ですが精細であるという素晴らしい音色が聴かれ、ムターの慈しむように歌うヴァイオリンと絡み合って、この世ならぬ桃源郷の美しさを表現するかのように陶酔的で、幻想的です。 第三楽章では、例の舞曲的テンポに乗って、魂が駆けてゆくような興趣であって、いささか前半の二楽章に比して出来栄えは劣る音楽ながら(それはシベリウスの筆の問題です)、そうした瑕をいっさい感じさせない完全なエンペラースタイルに仕上げていて、技術も、音楽も、情熱も、すべてが充実の極みで、感動的な終末にたどり着くまで、聴き手の心を惹きつけて離しません。 録音もドイツ・グラモフォンの誇る4Dシステムを代表する秀抜さで、これだけのクオリティで収録された名演・名曲はそう多くはないでしょう。弦の弾かれた音のリアリティ、オケの質感、シベリウスらしい広大な空間の表出が見事で、このレーベル屈指のものです。 結果として、価格はやや張りますが、この傑作協奏曲を代表し、またムターを代表するディスクとして、強力に推薦したいと思います。 また、シベリウスを知る上でも、けっして欠かすことのできない名盤であると確信します。 併録されているセレナーデも可憐な名曲で、一聴の価値がありますのでぜひ聴いてみてください。 (録音 1995年) DISC Recommend 1 演奏 ★★★★★ 2 録音 ★★★★★ 3 不朽 ★★★★★ 4 買得 ★★☆ 5 必須 ★★★★★ ![]() ↑あなたもいますぐこの名盤をゲットできます! HMVでクラシック クラシック人気blogランキング♪ |
この記事のコメント北国タクトさん、こんにちは。
シベリウスと言えば、私は中学時代から吹奏楽部でラッパを吹いていましたが、コンクールで「フィンランディア」を演奏したことがあります。随所に出てくるタンギングがなかなかうまく出来ず泣かされた経験があります。ところでヴァィオリン協奏曲ですが、私はチョン・キョンファ・プレヴィン指揮ロンドン交響楽団が愛聴盤です。しかし、ちょっと古い録音ですし、これに匹敵する演奏を探していました。タクトさんの推薦盤を即購入します。ドレスデン・シュターツカペルレの渋く重厚な音も好きです。 コメントありがとうございます。
そうですか、YIさんはラッパ経験者でしたか。 たしかにチョン・キョンファ盤はすばらしいですね。 全盛期が短かったこの奏者の代表盤のひとつですよね。プレヴィンとロンドン交響楽団のバックもリリカルでうっとりします。 考えてみればムターもプレヴィンのバックです。 どうやらこの指揮者はシベリウスの勘所をよく知っているようですが、交響曲の録音がない?のは残念ですね(あるのかな?)。 この曲はチョン・キョンファ、ハイフェッツ、ムターが御三家と思います。 |
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