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バッハ オルガン名曲集(バッハ258年目の命日に寄せて)


7月28日はヨハン・セバスティアン・バッハの命日です。
偉大な大バッハは、生前、オルガンの名手として知られ、並ぶ者のない存在でした。
各地でオルガンの設計や目利きにも一役買っていたといわれますから、彼のオルガニストとしての名声は夙に聞こえたものだったようです。
そんなバッハですから、オルガン曲には数多くの傑作を残していて、いまでもこの分野では圧倒的な存在感を誇っています。
ここでは、彼のオルガン曲を集成したアルバムを紹介します(もちろん廉価盤)。
弾き手をつとめるのは、いずれも20世紀を代表する名オルガニストたち、ヴァルヒャ、リヒター、アラン。
お気に入りの一枚を見つけてください。
*聴き比べは、主にBWV565(トッカータとフーガ ニ短調)、BWV645(コラール・プレリュード「目をさませと呼ぶ声が聞こえ)で行います。



★リヒター盤

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リヒターは古楽(特にバッハ)指揮者としても、いわば信仰の対象となりうるような世界を打ち立てた人として知られますが、オルガニストとしても大変にすぐれた奏者でした。
彼の音楽には、軽佻浮薄とは正反対の、重厚で感情の視座が長い、独自の重力が息づいているようです。
BWV565では、冒頭から低音の迫力がただ事ではなく、熱気に満ち、聴くうちに高揚してくる音楽になっています。
若々しい力の横溢が感じられ、それでいながら崇高な感情が見事に同居しています。
テンポの揺れはかなりありますが、演奏者の心理的裏づけを感じさせるもので、不自然さはありません。
むしろそこに聴き手はひきつけられるであろう演奏で、一音たりとも聞き逃せない音楽です。

BWV645も、同様にたっぷりとしたテンポを設定して思い入れに満ちた音楽をかなでているのが印象的です。
バッハの音楽にかけるリヒターの強い意志をひしひしと感じさせ、すこぶる濃厚な演奏ともいえそうです。
祝福の歌、という印象は薄らぎ、むしろキリスト賛歌とでもいえそうな崇高な感情を聴き取ることができ、たいそう感動的な録音です。

1954年の、デッカレーベル初のステレオ録音となったもので、その年代が信じられないほど豊穣で見事なサウンドはぜひ一度体験してみていただきたいです。ヒスノイズも少なく、低域の迫力など耳を疑うほどです。

(録音 1954年)

DISC Recommend
1 演奏 ★★★★★
2 録音 ★★★★
3 不朽 ★★★★
4 買得 ★★★★★
5 必須 ★★★★



★ヴァルヒャ盤

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もっとも自然体で、気負いとはいっさい無縁のバッハ。それがヴァルヒャです。
BWV565では、思い切りの良い、すっきりとしたテンポで終始運ばれてゆきますが、何気ない音にも無限の味わい深さがあり、バッハ本人が弾くのをもっとも連想させやすい名演ではないでしょうか。
ご存知のように、視力のハンディを背負っていたヴァルヒャは、すべての音符を音で教わり、記憶して弾いていたわけですが、そんなことも、この純粋無垢な、驚異的な無私の芸術に結実しているのかもしれません。
音色にも魅力があり、すがすがしく聴いていて心を洗われるほどです。

BWV645では、あたたかい人柄を感じさせるような好演で、祝福のムードにもっともふさわしいです。
音色のよさを充分に生かして聴き手の心をとらえ、幸せに満たすような音楽としていて、とても感動的です。
ある意味では時代遅れなスタイルかもしれませんが、私は『有り』だと思いますし、きっと未来においても輝きを失わない演奏ではないかと思います。

録音には曲によってばらつきがあり、ややヒスノイズが目立つのが残念ですが、年代を考えれば及第点には達しているといえます(逆に、デッカが凄すぎるのです)。

(録音 1956-71年)

DISC Recommend
1 演奏 ★★★★★
2 録音 ★★☆
3 不朽 ★★★★★
4 買得 ★★★★★
5 必須 ★★★★☆



★アラン盤

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現存するなかではもっとも偉大なオルガン奏者といえるのが、アランです。
彼女はバッハのオルガン曲を複数回、作品集にしていて、これは彼女の壮年期の全集から取られたものです。
その音楽はきわめて流麗で、清流が流れるようですらあります。
BWV565のような、クラシック音楽の膨大な海においても、特筆すべき激しさを持つ音楽でさえ、アランの手にかかると、とてもスタイリッシュで、しかも軽薄さとは無縁の正統的解釈によって達成されているのが凄いです。
トッカータの鮮やかな完成度と、見通しの良い音楽作りが活きているフーガのバランスも見事というほかなく、きわめて端整、かつ明るい光も感じさせます。
いつ聴いても満足させられる佳演で、リファレンス的演奏ともいえます。

また、BWV645においては、その軽やかさが、天上の調べを聴くように美しいコラールとなっています。
この曲の純音楽としての素晴らしさを、再認識させる演奏で、いかにも女流らしいみずみずしい感性が光ります。

低音の迫力ではややリヒターに遅れをとりますが、全体に録音クオリティはとても高く、明瞭なサウンドなのも好ましい点です。

(録音 1979年)

DISC Recommend
1 演奏 ★★★★★
2 録音 ★★★★☆
3 不朽 ★★★
4 買得 ★★★★★
5 必須 ★★★★


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この記事のコメント

北国タクトさん、こんにちは。
私の音楽鑑賞歴は高校時代に聴いたバッハのオルガン曲からスタートしました。家にステレオ装置などありませんでしたから、市立図書館の音楽鑑賞室でLPを借りてイアホンで聴いていました。いつも借りるLPはリヒター演奏のオルガン曲(グラムフォン盤)でした。その後、いろいろなオルガニストによる演奏で楽しんできました。リヒターのデッカ盤は2枚組のLPを持っていますが、低域が雄大でやや過剰気味かもしれません。しかし、小型スピーカーでもオルガンの素晴らしさを聴くことができます。最近ではバッハのオルガン曲はあまり聴かなくなりましたが、この際集中して聴いてみます。アランの力みのない清楚な演奏が好きです。
2008-07-27 Sun 17:47 | URL | YI #-[ 編集]
こんにちは。
リヒターのデッカ盤は、たしかに低音がすごいですね。
アラン女史も、私は大好きです。
私は彼女の録音からバッハのオルガン世界に入ったものでした。
けれんみのない、清澄な音楽だと思います。
2008-07-28 Mon 10:42 | URL | 北国タクト #dBXh/C6s[ 編集]

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