ベートーヴェン 交響曲第5番、第7番 カルロス・クライバー指揮ウィーン・フィル2008-05-02 Fri 21:00
![]() ↑HMVのサイトに飛びます カラヤン祭のログでも何度か触れましたが、稀代のカリスマ指揮者カルロス・クライバーが、ベートーヴェンの交響曲で何度か名演を残しています。 それらはいずれも、好楽家にはたいへんな名盤として親しまれてきたものですし、じっさい、演奏内容の充実も、この指揮者ならではの凄みを感じさせるものです。 その絶大な人気に比して、わずかな(といってもいいでしょう)録音をしか残さなかったクライバーですが、ベートーヴェンに関しては比較的恵まれており、彼の生前より、4、5、7番の正規録音がリリースされていました。 このうち5番と7番を収めたのが、このディスクです(4番はライヴ録音であり、レーベルも違います)。 絶対の自信を持つ曲だけを録音したといわれるクライバーですから、ここでも超絶的な名演の記録となっているのは、いまさら私が説明するまでもないかもしれません。 第5番は元来、きわめて論理的でもありながら、反面、激情の塊のような音楽でもあります。 その解釈を、爆発的な音楽的跳躍と、ゴムマリのような弾性で表現し尽くしたのが、ここでのクライバーの演奏といえそうです。 どんなに些細なフレーズも疎かにしていないのに、聴きながら受ける印象はまさに疾風怒濤としかいえないのは、クライバーが生得している音楽性の豊かさならではといえるでしょう。 たとえば第四楽章の歓喜の音楽など、フルトヴェングラー以来の感動的な歌となっていると思えますし、その生々しい存在感は無類のものがあります。 この指揮者が持っている音楽的エネルギーの巨大さに圧倒される思いがするほどで、少なくともステレオ録音における、同曲の録音・演奏として最右翼の1枚であろうことは、疑う余地がありません。 こんな演奏から、クラシックを聴き始めてもらいたいと思いますし、何度聴きこんでも新鮮さを失わない、この作曲家と指揮者の無限の生命力には、畏怖の念すら感じるほどです。 併録された第7番も、未来永劫に渡って光を失わないと思わせる名演です。 ドラマ版『のだめカンタービレ』で、ガーシュウィンとともにメイン曲として使われ、一躍知られるようになった作品ですが、もとよりクラシック音楽愛好家には絶大な人気がありました。 種々の人気投票で、ブラームスの1番などと接戦を繰り広げたことが、人気を裏打ちしています。 後世の作曲家たちにも多大な影響を与えた作品で、ワーグナーがいみじくも【舞踏の神化】と呼んだ如く、全体を強靭なリズムが支配する異色の名曲です。 この作品から生じた影響が、たとえばロックンロールなどへも波及したといわれており、躍動感の塊のような音楽であって、まさにクライバーの踊るような指揮にふさわしいです。 特に第一楽章の4:20〜の部分で、有名な旋律を、うちふるえるような手つきで扱っているのが印象的です。 すばらしく透明な美しさを持ったアダージョも、決してムード的な音楽にしてしまわず、剛毅な一筆書きともいえる推進力を見せて描ききっていますし、それでいて音楽はすこしも柔軟性を失いません。 第3〜第4楽章は、踊りながら指揮するクライバーが見えるような名演で、とくに最終楽章は狂騒的とすらいえる一気呵成の芸術として完成させています。 実際のタイムはカラヤンのほうが速いにも関わらず、こちらをよりすさまじい勢いに感じるのも、クライバーの指揮の精髄といえそうです。 ここまですさまじい第7番は、卓絶した力を持っていたクライバーにしても会心の出来ばえであったことでしょう。 ウィーンフィルをここまで真剣にさせているのも、クライバーのカリスマという思いがします。 録音はアナログ完成期の素晴らしいレベルの高さで、デジタル時代になってから失われがちな、音楽の勢いを、ダイレクトにキャッチしている印象があって見事です。 価格もきわめて廉価(898円?!)ですから、これらの名曲の最高の名演として、強力に推薦したく思います。 (録音 1974、76年) DISC Recommend 1 演奏 ★★★★★ 2 録音 ★★★★ 3 不朽 ★★★★★ 4 買得 ★★★★★ 5 必須 ★★★★★ ![]() ↑あなたもいますぐこの名盤をゲットできます! HMVでクラシック クラシック人気blogランキング♪ |
この記事のコメントこんにちは。
初めて書き込みさせていただきます。 両曲ともCDを持っています。どちらもすさまじいばかりの演奏だと思います。 以前記事にされていた、マーラーの5番(カラヤン盤)は、北国タクトさんの記事が購入の最終的な決め手になりました。(今回の記事と関係なくて、すみません) コメントありがとうございます。
このクライバーの演奏は、おっしゃるように凄まじいばかりの音楽でありながら、しなやかさを決して失わないところに特色がありますよね。 クライバーはカラヤンに私淑していたといわれます。 両者の音楽には意外なほどに近接した性格を私は感じます。 マーラーのこと、嬉しく思います。 カラヤンの5番はいかがでしたか? またコメントしてください。 北国タクトさん、久しぶりです。
この演奏はまさに「疾風怒濤」の一言と思います。 >ウィーンフィルをここまで真剣にさせているのも、クライバーのカリスマという思いがします。 まさにご指摘のとおりです。VPOのホルンの凄みはベームのブルックナー「第4番」(1973 LONDON)で で聴くことができますが、この演奏、特に最終楽章でのホルンはすごい。まさに「どうだ」と言う感じです。クライバーもVPOのメンバーも最終楽章をとり終えて疲れがドッと出たのでは。このCDを聴き終えるたびにスピーカーに向かって「ご苦労様」とつい言ってしまいそうです。 さきほどのコメントは「第7番」についてでした。もちろん「第5番」も素晴らしい演奏ですが。カラヤンの「運命」しか持っていなく「第7番」をあまり聴いたことのない人には、このCDを勧めたいですね。
コメント感謝します。
クライバーのベートーヴェン、文句なくすばらしいですね。 その音楽的エネルギーの風圧に吹き飛ばされそうになります。 こんな演奏を聴いたら作曲者も喜んだのではないでしょうか。 しかし、これとはまったく違うアプローチの名演もあるわけで、多様な表現を許容するのが、傑作の証といえるのでしょうね。 |
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