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ラフマニノフ ピアノ協奏曲第2番、チャイコフスキー ピアノ協奏曲第1番 ワイセンベルク(P)カラヤン指揮ベルリンフィル、パリ管弦楽団


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ラフマニノフのピアノ協奏曲第2番は、『のだめカンタービレ』でも登場して(シュトレーゼマンと千秋が共演する曲です)、かつてないほど人気が出ている作品ですよね。
私にとっても特別な作品で、ラフマニノフの音楽に熱中してゆくきっかけになったものです。
当時つきあっていた恋人からこの曲のCDをもらい(今でもとってある)、聴いていくうちに、自分のなかにある感情の波と、ラフマニノフの音楽の振幅が、ぴったり重なり合うのに気づいてゆきました。
ですからラフマニノフに関しては、その作品のすべてを自分のもののように大切に思っているのですが、やはりこの曲は、その中でもスペシャルです。

ラフマニノフのピアノ協奏曲第2番は、憂愁と、美と、追憶の音楽です。
ここで聴く、ワイセンベルクのピアノのクリアで深いことといったら、最初の一音から、心を鷲掴みにされるようです。
絶好調時のカラヤンが、ベルリンフィルを振って、強烈な伴奏をつけていますが、それに一歩も引くことなく存在感を示しているのは、ワイセンベルクならではのすごさです。
ラフマニノフの協奏曲は、力のない弾き手ですと、ピアノがオーケストラに埋没してしまうことも多いですが、その意味でワイセンベルクほど、強力に、クリアなピアノを弾ける名手はいないのではないでしょうか?
最近出ました、ツィマーマンと小澤による録音など、ピアノを際立たせるためにオーケストラをオフ気味に録音するといったことがされており、ツィマーマンほどの名匠でも、この曲では伴奏にうちかつために苦しむのが窺えるようです。

ワイセンベルクのピアノは、たとえようもなく美しいです。
美しいだけでなく、とてもクリアで、異様なほどに力強いのです。
カラヤンが指揮しているベルリンフィルの伴奏は、この曲の録音史に例がないような強烈なフォルティッシモを聴かせていますが、先の見通せない吹雪からひとすじの強い光が射すように、ワイセンベルクのピアノがはっきりと伴奏をかきわけて聴き手に迫ってきます。

第一楽章の終結部分の背筋が凍るような追い込みは、ほかの録音では決して見られません。カラヤンとワイセンベルクの一騎打ちともいえる技の競いあいです。
第二楽章の夢のようなアダージョは、この曲の叙情をすみずみまで照らしだして、しかもきわめてデリケートに演奏されています。
最終楽章は、もはやこの世のものではない美しさ。
大空を飛翔するかのようにピアノがきらめき、オーケストラは光の奔流のように音楽をふりそそがせています。
雲を縫って、蒼穹に登っていくように、天の階段を駆けあがり、跳躍する音楽を、はっきりと聴けます。
(それは10:00〜10:25の部分です)
この曲を聴きながら、余事を考えることなんてできません。
たたただ、とてつもなく大きな波に、身も心もさらわれ続けて、さいごまで全身全霊で聴きとおすほかありません。
音楽がこんなにも、録音がこんなにも、人の心を揺り動かせるのか、と聴き終えてから何度も思いました。

恐ろしい音楽です。

この録音は、私を何度も感動させてくれ続けています。
きっと、これからもそうあり続けてくれるでしょう。
私にとって、大切な、一枚です。
今日は私にとって特別な日ですので、この名盤を紹介させてもらいます。


なお、併録されているチャイコフスキーですが、こちらも普通の意味で名演といえます。
この曲をはじめて聴く方にはオススメできる演奏であり、ワイセンベルクの良さもよく出ていますから、ぜひ聴いて欲しいのですが、惜しむらくはパリの録音が良くないですね(ラフマニノフと比較して)。
チャイコフスキーに関しては、また別のCDをいずれ紹介したいと思います。

(録音 1971-72年)

DISC Recommend
1 演奏 ★★★★★
2 録音 ★★★☆
3 不朽 ★★★★
4 買得 ★★★★★
5 必須 ★★★★


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