CLASSIC音楽 不朽の名盤 バイヤーズガイド☆クラシックの名盤・廉価盤情報サイト☆

クラシック音楽CDから、不朽の名盤(&廉価盤)にふさわしいものを点数付で紹介してゆくブログです。初心者の方も歓迎です。新潟でのコンサートレビューもあります

新潟の美しい夜景

新潟市夜景1


私が思いますに、新潟市は、日本全国を見渡してみても、有数の夜景を見れる地です。
有名な夜景は、いわゆる日本三大夜景といわれ、函館、神戸、長崎とされています。
ほかにも横浜や東京、札幌、福岡なども、夜景の美しい都市とされます。
私はここに、新潟市を加えてもよいだろうと思うのです。
昨日、朱鷺メッセ展望室から、夜景の撮影を行いました。
ここにその写真を添付しますので、ぜひ見てください。
これを見るために新潟市を訪れる価値が充分にある、すばらしい景色です。

朱鷺メッセ展望室へ行く

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ひとりごとや新潟市観光について | コメント:0 | トラックバック:0 |

ブラームス ヴァイオリン協奏曲 パールマン(VN)&ジュリーニ指揮シカゴ交響楽団


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ブラームスのコンチェルトは交響曲に劣らずすばらしいものです。
ここに聴くヴァイオリン協奏曲も、古今の名曲といわれ、いわゆる三大ヴァイオリン協奏曲に数えられています。

パールマンはユダヤの血を引くヴァイオリニスト。
下肢の不自由なハンディを背負っていますが、その美音は、彼のそうした不如意など微塵も感じさせないものです。
つねに(ときに楽天的といえるほど)屈託なく明るい音色で、卓越した演奏技術を駆使して行くところ可ならざるは無しという勢いでもって弾き進めていっているのが、いかにも印象的です。
持ち前の濡れたような美音が、ブラームスの晦渋さをいくぶんなりとも和らげて、ここではむしろおだやかな慈しみの音楽としていますし、闊達自在と評すべき無比のテクニックで、すべての楽想を丹念に描いてゆくのも、このひとならではの素晴らしさです。

パールマンがこの曲を、つねに前向きな音楽にしていることは、あるいは味わいの不足として感じられる危険もないとはいえないはずですが、それをジュリーニのきわだってシリアスな伴奏がおぎなっていますから、ここで両者の特質の幸福な結婚があって、最高の名演として結実しているのも、むしろ当然という思いが致します。
20世紀後半に、もっとも偉大な指揮者のひとりとして活躍したジュリーニは、ブラームスの音楽を、正面からの解釈でとらえきって、いささかも手を抜かず渾身の伴奏をつけており、パールマンの、ふとした拍子に軽薄に流れがちな欠点を絶妙にサポートしているのです。

シカゴ交響楽団の無比の演奏能力も、両者の音楽作りを大きく助けております。
とくにジュリーニも、パールマンも、基本的には【歌の人】ですから、そうした彼らの旋律を重視する傾向を、きりりと引き締まったサウンドで、どんな瞬間も軟弱に聴かせないのはさすがというほかありません。
(そしてまた、歌心に欠ける奏者では、ブラームスの音楽が、ただ堅苦しいだけのものに堕してしまう恐れがあるのも、いうまでもありません)

全体に、力量充分な三者が本領を出し切った結果の名演となっていて、この曲のリファレンスとして文句なく薦められるものです。
録音も、アナログ完成期のEMIらしい、音のニュアンスを最優先させた暖かみのあるもので、聴きながら幸福になってしまうほど状態がよいです。

価格もきわめて廉価ですから、ぜひともひとりでも多くの方にお聴きいただきたい名盤といえます。
仏ACC、ADFディスク大賞、米グラミー賞を受賞しています。

(録音 1976年)

DISC Recommend
1 演奏 ★★★★
2 録音 ★★★★
3 不朽 ★★★★
4 買得 ★★★★
5 必須 ★★★★


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ブラームス | コメント:2 | トラックバック:0 |

ドビュッシー 『海』ほか管弦楽曲集 アンセルメ指揮スイス・ロマンド管弦楽団


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アンセルメのフランス音楽には、彼らしい明晰な視線と、趣味の良い香気が感じられる名演ぞろいです。
スイス出身の彼は、数学者でもあった経歴を持ち、その後指揮者に転じました。
ここでの録音は、そうしたアンセルメが設立したスイス・ロマンド管弦楽団によるものです。
彼はドビュッシー、ラヴェル、ストラヴィンスキーなどとも交流があり、その意味では作曲者直伝の解釈をも授かった、まことに貴重な存在でした。
ですからここに聴くドビュッシーも、衆目の認める名演になっていることは、言を待たないところであります。

第一曲目の『牧神の午後への前奏曲』の味わいの豊かさも見事ですが、白眉は『海』で、この有名曲を、アンセルメはあくまでクリアな視座を保ちながら、デリカシーに富んだ手つきで扱っているのに気づかされます。
結果として、演奏は馥郁たる香料を多量に含みながらも、すっきりとした見通しのよさをも併せ持った、稀有の充実を見せています。

この録音のリリース以降、演奏者にもリスナーにも、一種のリファレンスとしての地位を固めたといわれるだけに、現在でもこのレベルに達している演奏は、驚くほど少ないのです。
ですからこのアンセルメの演奏から、茫洋と広がるドビュッシー作品の海へと漕ぎはじめることで、ある意味では理解の難しい面もある、この印象派の巨匠の正確な姿へ、近づくための近道をゆけそうです。

また、玄人筋に評価が高いのは、むしろ『夜想曲』で、たしかにニュアンス抜群の美演ですから一聴の価値があります(ただ、惜しむらくは他の収録曲に比して録音がやや落ちます)。

録音は目を見張るほどのものです(特に『海』は素晴らしいです)。
さすがにヒスノイズは否定できませんが、音のソノリティは50年近く経ったものとは思えないほど生々しく、目の前に迫ってくるかのように録られています。
やはりDEECAの技師チームのレベルは高いものがあります。

価格も1000円という廉価盤ですから、ぜひご入手ください。

(録音 1957、64年)

DISC Recommend
1 演奏 ★★★★
2 録音 ★★★★
3 不朽 ★★★★☆
4 買得 ★★★★☆
5 必須 ★★★★


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フランス音楽 | コメント:2 | トラックバック:1 |

じつはプリアンプをAccuphase C-275に変更して数ヶ月経ちます

C-275


じつはプリアンプをAccuphase C-275に変更して数ヶ月経ちます。
こっそり換えていました。

というのも、アキュフェーズ C-275はリモコンが実に便利なのです。
私のリスニングルームは16畳あるものですから、不精な私(と嫁さん)には、リモコンがないとなかなか不都合なのです。

このリモコン、少し重いですが操作性は抜群で狙ったとおりのボリュームにできます。
C-275の音質は、C-270に比較して軽やかで、高域がよく伸びます。
重量感はやや後退しますが見通しのよいクリアで晴れやかなサウンドで、大変私ごのみの音です。
(そうはいっても低域もキレがよく充分です)

ルックスの良いアンプで、さしずめ美青年という趣です。
たいへん美品ですし、もう、しばらく換える気はございません。
お金もありません(笑)

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オーディオ | コメント:2 | トラックバック:0 |

とても美しいAccuphase P-500Lのアナログメーター

P-500L


私は普段、270W(8Ω)のアンプをこのくらいで鳴らしております。

なにが好きだといって、このP-500Lのメーターほど美しいものは、歴代Accuphase製品にも見当たらないと思います。
右下にブランドロゴが入っているのもいい佇まいです。

メーターのアクリルパネルがクリアすぎて、後ろにマンガ『NANA』が全巻そろっているのが見えるくらいですw(実はファンです)

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オーディオ | コメント:0 | トラックバック:0 |

チャイコフスキー ピアノ三重奏『偉大な芸術家の思い出のために』 スーク・トリオ


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ピアノ三重奏というと、室内楽にあまりなじみがない方には、よほど地味な印象があるのではないでしょうか。
ですが、無視できない傑作群が、存在している分野でもあります。
ブラームスやシューベルトにも傑作がありますが、まずはじめはこのチャイコフスキーから聴きはじめるのがいいかもしれません。

というのも、いっけん地味な印象のピアノ三重奏を、チャイコフスキーは、いかにもロマン派の作曲家らしく、ドラマティックで味わいの豊潤な傑作として書き上げているからなのです。
いかにもロシアの作曲家に手になる哀切そのものというメロディなど、いつまでも心に残るすばらしさです。
すくなくともこの曲を聴いて退屈するとは思えませんし、チャイコフスキーらしく、華やかな演奏効果も抜群で、実演で聴いても満足を与えられる確率の高い作品です。

スーク・トリオは、いわゆる家族的な絆を長所として活躍を続けたチェコの国宝的アンサンブルといってよく、その演奏はつねに最高の燃焼を示しながら、気高さを失うことがないのも特筆できます。
この作品はチャイコフスキーが私淑していた大音楽家の死を契機として書かれたもので、感情の没入も激しいものですが、たとえばそうした、第一楽章の【慟哭】もさることながら、第二楽章前半のアダージョに、聴くほどに労わりの心、慰めの感情を感じとれる、深々とした呼吸の音楽を築いているところなど、まさに緊密なアンサンブルならではの室内楽を聴く醍醐味を教えられる思いが致します。

名人パネンカのピアノを軸として、【弦の王国】といわれたチェコの名手たちが織り成すすばらしい音楽を、DENONの録音が克明に記録していて、その点もまことに素晴らしいです。
とくに2トラック目、5:00〜の部分など、涙なしには聴き得ない美しさの極地という思いがします。

第二楽章後半の輝かしい、雄々しく進む音楽も見事に再現されています。
まさにもっともよい状態にあったスーク・トリオの最高傑作といえる録音であると判断できますし、曲とアンサンブルの同質性がここまでの名演を産んだのだといえなくもありません。
ぜひ多くの方にお聴きいただきたい名盤・名演・名録音ですし、こんなCDからピアノ三重奏や室内楽に熱中してしまうことも、大いにありそうだという気がします。
1000円の国内盤という最高のバーゲン・プライスですから、迷わずお買い求められると良かろうかと存じます。

(録音 1979年)

DISC Recommend
1 演奏 ★★★★★
2 録音 ★★★★★
3 不朽 ★★★★
4 買得 ★★★★☆
5 必須 ★★★


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チャイコフスキー | コメント:6 | トラックバック:0 |

東京交響楽団 第48回新潟定期演奏会 2008/5/18 於りゅーとぴあ

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指揮 ユベール・スダーン
ピアノ リーリャ・ジルベルシュテイン

☆プログラム☆
シューベルト 交響曲第1番
プロコフィエフ ピアノ協奏曲第3番
シューベルト 交響曲第4番

われらが音楽監督のスダーン登場で、いやがおうにも期待が高まりました。
シューベルトの交響曲は、作曲家の若々しいロマンを表現していて十全の出来ばえでした。
緊密でしなやかなアンサンブルは、やはりスダーンならではでしたが、オケの音色の進歩も光っていたように思います。
スダーンが音楽監督に就任してから、たしかに進歩を続けているように感じられます。

しかしながら、この日の白眉はプロコフィエフ。
これはロシア作曲家のピアノコンチェルトでも屈指の名曲であると思いますが、演奏効果をあげるのには、たいへんな技巧が要求されます。
ジルベルシュテインはそのハードルを楽々とクリアしているようで、唖然とするほどのテクニックを披露してくれましたし、どちらかといえば甘口ではなくハードなタッチで弾ききっており、女流らしいたおやかさよりも、ヴィルトゥオーゾ的な醍醐味をまざまざと見せつけてくれて圧巻でした。
最終楽章の追い込みもめざましいほどで、あざやかに弾ききってくれて会場はブラボーの嵐でした。
解釈もごく正統的で、即興性や発見には乏しいですが、正道をゆく見事な音楽でした。

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東京交響楽団 第47回新潟定期演奏会 2008/4/27 於りゅーとぴあ

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指揮 シャン・ジャン
ヴァイオリン イダ・ヘンデル

☆プログラム☆
ベートーヴェン 序曲『レオノーレ』第3番
シューマン 交響曲第4番
ベートーヴェン ヴァイオリン協奏曲

シャン・ジャンの放埓なエネルギーの熱波にやられてしまった演奏会でした。
『レオノーレ』から、すでにいつもの東京交響楽団では聴けないほどの音楽的高揚を見せていたので、それだけでも満足に値するコンサートでしたが、さらに素晴らしかったのがシューマンの4番でした。

あらゆる意味で極度にロマンティックながら、いささかも推進力を犠牲にしない演奏で、目を見張るようなバイタリティと弾性で迫ってくるのには、感銘を通りこして驚異的ですらありました。
ある意味で、かなり即興的なのかもしれませんが、才能のきらめきを随所に見せている見所のとても多い指揮であって、そのせいもあったのか、オケに些細な事故は何点かありましたが、集中して聴き通してしまっていたため、ほとんど気にならないようなものでもありました。
なるほどこのような演奏でこそシューマンの音楽が活きるのだ、と実感させてくれる実に豊かな体験でした。

後半のベートーヴェンのコンチェルトはいささか私の理解を超えています。
老人の音楽であって、まともに弾きとおす力を失っているのが明白でした。
それを人間博物館の展示のようにありがたがる風潮には疑問を感じます。

ですが、シャン・ジャンの指揮はぜひともまた聴きたいものです。
音楽を聴く喜びをこれほど身近に感じさせてくれる指揮者は、本当に稀ではないでしょうか。

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パシフィカ・カルテット演奏会 2008/6/11 於新潟市音楽文化会館

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☆プログラム☆
メンデルスゾーン 弦楽四重奏曲第2番
リゲティ 弦楽四重奏曲第1番『夜の変容』
ベートーヴェン 弦楽四重奏曲第7番

アメリカでは新進気鋭の団体として知られ始めているらしいパシフィカ・カルテット。
彼らの得意のメンデルスゾーンを冒頭に据えたプログラムで、期待も大きかったものです。
結果からいうと、いささか残念な出来ばえ。
元来このホールは響きがデッドで、それを克服する為に室内楽の奏者は負担を強いられる部部もあるが、その点においては充分クリアできていたとは言い難かったようです。
メンデルスゾーンは品格ある演奏でさすがと思わせましたが、この団体の真価を見せたとは言いにくいように思います。

ベートーヴェンは、たとえば第8番のようなすぐれて凝縮された傑作に較べ、7番の緩さや冗長さが気になる演奏になってしまっており(こうした演奏を許してしまうベートーヴェンの書法にも疑問を感じますが)、集中して聴きとおすことが難しく感じられました。
この曲の欠点があらわになってしまったわけですが、演奏次第で活きも死にもするわけですから、改めて7番の気難しさを感じた次第でもあります。

リゲティは、たいへんな名曲なのは周知のとおりですが、私はこれを録音で聴いてもなかなか楽しめません。
しかし、実演で聴くと、つねに感銘を受けるのが自分でも不思議なほどで、たとえばフェルメールSQの超絶的名演の記憶と比較はできないものの、プログラム中ではもっとも音楽にひたらせてくれるものでした。

全体にいささかエナジーの不足を感じさせ、それが聴き手にとってフラストレーション化してしまうような点も散見され、出来栄えはいまいちだったと思います。
あるいはそれは経験不足ゆえだったのかもしれませんが。
この団体ならベートーヴェンよりもバルトークを聴きたいところでした。

アンコールのピアソラとベートーヴェンのop130は正規プログラムよりも見事に結晶化された印象で、なおさら残念の思いが募りました。

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マーラー特集いかがでしたか?

バーンスタイン以後、というテーマでお送りしたマーラー特集。
いかがでしたか?
とても意義のある3枚を選べたのではないかと自負しています。
マーラーは多様な表現を許容するだけの巨大な器であることが実感されますが、ときにはコンサートで楽しみたいものです。
マーラーこそ実演で聞くべき作曲家の最右翼であるように、私には思えるのです。


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マーラー 交響曲第8番『千人の交響曲』 ラトル指揮バーミンガム市響


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いまやベルリンフィルの音楽監督として、世界の楽壇の中心的存在であるサイモン・ラトル。
ベルリン以前には、バーミンガムのオーケストラに心血を注ぎ続けていたことはよく知られています。
英国の田舎町(とはいっても大都市ではありますが)の目立たない存在でしかなかったバーミンガム市響は、若きマエストロの挑戦的な活動の中で鍛えられ、研ぎ澄まされてゆきました。
彼らの成果は、シベリウスの全集などにも顕著にあらわれていますが、ここに聴くマーラーの8番こそが白眉であり、悼尾を飾るものでもあります。

マーラーの8番は、あらゆるクラシック作品の中でも最大の規模を持つ大曲中の大曲です。
それは初演に1000人以上の演奏人員を要したという一事からも明らかですが、さらに重要なことは、その内容自体が、巨大な精神を宿していて、見かけ上の大きさに拮抗しているという点です。
真に偉大な指揮者のみが、この曲を成功させることができますし、規模の面からも、名演を実現する機会は多くありません。
その意味で、マーラーのほかのシンフォニーほど、決定的な名演に恵まれていないのも、むべなるかなという思いがいたします。

ラトルはマーラーの全集を録音してゆく途上でベルリンの地位を得ました。
それだけに、第5番や第10番など、ベルリンフィルと録音されて大きな話題をさらいもしました。
ですから、最後のピース(欠片)というべき『千人』を、ベルリンではなく古巣バーミンガムのオーケストラで録音したのだと聞いたとき、期待よりも当惑の念にかられたのは、私だけではなかったはずです。
ラトルの意図が読めなかったからですが、実際の録音を聴いて、そんな疑問は吹き飛んでしまいました。
全集中、もっともすぐれた名演の誕生を実感したからです。

ここでのラトルとオーケストラは、まさに渾然一体の有機体となってマーラーの大作に同化しきっていますし、その振る舞いはなんとも自然でありながら、常に力強く、軸足のぶれない強靭さをも備えています。
マーラーの第8番は、きわだった巨峰でありながらも、生々しいまでの創作力の高揚をも宿している点に、その感動の秘密があるのだと思いますが、それを十全に活かしきるには、オーケストラと指揮者の一体化した没入度が鍵となってきます。
その意味では、かつて名演といわれたショルティ、バーンスタイン、テンシュテットらは、マーラーへの傾倒を如実に感じさせる熱のいりようでどれも見事でしたし、オーケストラの献身的な(それでいて積極的な)サポートも欠かせないものでした。
現代において、何人かの指揮者が『千人』に挑みましたが、それらがいずれも、大きな成功とはいえなかったのは、先人らのこうした情熱を、あるいは持ち得なかったからかもしれません。
正確なスコアリーディング、精密な指揮、統率力、というだけでは到達できない奥深さを、この神秘の大曲は内包していて、容易に制覇できない頂となって立ちはだかっていたのでした。

サー・サイモン・ラトルとバーミンガム市響。
両者の結びつきの強さを感じさせる名演でもあると思いますし、またてらいのないストレートな解釈と、いささかも躊躇優柔を見せない果敢な指揮は、ラトルという指揮者の本領を見る印象です。このような演奏を成し遂げてしまう力があればこそ、やはりわれわれはラトルに一目置かざるを得ませんし、常に目が離せない存在なのだともいえそうです。
結果からいえば、この注目すべき録音は、おそらくバーミンガムをパートナーに選んだからこそ実現したのでしょうし、いかなラトルとはいえ、ベルリンで同じような振る舞いが可能だったかどうか。

ことに第二部の圧倒的に高潮してゆく様子にはライヴならではのよさも感じられ、あざやかな出来栄えです。
トラック23以降は渾身の音楽であり、目もくらむほどまばゆい輝きを放っており、すさまじい感動の坩堝に聴き手をいざないます。

全体にたいへん傑出した名演であり、ある意味ではこれほどのレヴェルに達した、多彩な要素がいずれも高次元で整った録音は、この曲の過去の演奏を頭ひとつぶん追い越してしまったようにも思います。
ショルティに欠けていたしなやかさと、バーンスタインが持てなかった録音の万全、テンシュテットが実現できなかったオーケストラのヴィルトゥオジティをいずれも獲得し、まさに時と人を得た感があります。
当盤が第8番の究極的録音であるのは論を待たないところであります。

この第8番の存在があれば、ラトルという恐るべき指揮者の才能を、いささかも疑う余地はないはずです。
あたらしい時代を拓いた記念碑的名演として、これからのマーラーを語る際にけっして見逃すことのできない一枚です。
これ以上のつたない言葉は不要でしょうから、ぜひともお聴きになって、感想をお聞かせください。

(録音 2004年)

DISC Recommend
1 演奏 ★★★★★
2 録音 ★★★★★
3 不朽 ★★★★☆
4 買得 ★★★
5 必須 ★★★★


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マーラー | コメント:4 | トラックバック:0 |

マーラー 交響曲第10番(クック版) ギーレン指揮南西ドイツ放送響


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マーラーの交響曲第10番は、作曲者が完成させることができなかった作品です。
クラシックの世界には、こうした未完の有名曲がいくつもあります。
たとえばシューベルトの『未完成』交響曲や、ブルックナーの交響曲第9番、モーツァルトの『レクイエム』などもよく知られています。
これらのほとんどが作曲家の最晩年の作品であるだけに(シューベルトはやや事情が違いますが、円熟期の書法には間違いないです)、その音楽の素晴らしさはまさに悼尾を飾るだけの傑作に値するものです。
マーラーの交響曲10番は、このなかでも特に【未完】の度合いが甚だしく、シューベルトのように完成部分が仮にもあるようなものでも、モーツァルトやブルックナーのように過半を書き上げていたというわけでもない、まったくの未完作品です(第1楽章でさえ完全には仕上がっていなかったのです)。

しかし、どうしてもマーラーの最後の作品を聴いてみたいという思いはやみがたく、残されたスケッチを元にしてマーラーの未亡人アルマ(彼女自身作曲家としてのキャリアを持っていた才媛でした)や、彼女の遺志を継いだ人間が錚々たる作曲家たちに楽譜完成の依頼を行ってきました。
そのなかには、シェーンベルクやショスタコーヴィチ、ツェムリンスキーといった大物の名前も散見されます。
こうした努力にもかかわらず、完成は困難を極め、光明が見えたのはイギリスの音楽学者デリク・クックの出現を見てからでした。
紆余曲折を経てクックが完成させた第10番は、アルマをも感動させ、全世界的にクック版として広まってゆくことになったのです。
その最新のものは、1989年に出されたクック版第3稿(第2版)です。

過去、何人かの指揮者がクック版で10番の演奏・録音に取り組んできました。
たとえばザンデルリングの名演があり、ラトルの挑戦的な二度の録音があり、シャイーによる美しさの限りの美演がありました。
しかしながら、マーラー自身の手によるものではないオーケストレーションは、クック版の誠実さをもってしても、想像力で響きをおぎなわねばならない部分が多く、完全な満足を与えてくれるものはありませんでした。
私自身の好みでいうと、わずかにザンデルリングだけが、満足しうるマーラー象を提供できたように思いますが、説得力を持ち得た代りに、いかにも荒削りのものではありました。
だからこそマーラーは天才でもあったのでしょうが、新時代の名演というべきギーレン盤が現れてきたことで、一気に存在感を増したように思います。

ギーレンは現代音楽の解釈者として権威的存在ですが、その流れの源流としてマーラーを把握しており、スコアの理解度には、凡百の指揮者がとうてい及ばないものがあります。
ただ、彼のスコアリーディングと演奏が、必ずしも幸福に結びつく録音ばかりでもなかったのではありますが、ここでの第10番こそは、両者の完全な融合が最大限望ましい結果をもたらした名演となっているのです。

ギーレンはクックを称え、『完全にマーラーの精神を現している』と語ったとされますが、それを裏付けるかのように、かつてどの盤からも聴かれなかったほどマーラー的な響きがこの録音には収まっています。
かつて薄い部分もあることを覚悟せねばならなかったクック版のオーケストレーションは、ギーレンの手法によって多くの部分がフォローされていますし、すぐれてソフィスケートされたオーケストラは文句の付け所がないほど美しいものです。
かといってエモーショナルな部分での共感がないがしろにされているわけでもなく、美しいながら際立って哀切な音楽、切実な魂の希求となっているのには涙を禁じ得ません。

第5楽章のシリアスな表現もここにきわまった感があり、かつて聴いたことがなかったような響きが頻出します。
この演奏が出た以上、今後、マーラーの第10番へのハードルはとても高くなると思えますし、また逆に、指標となって後進を導くだけの力を持ったのだと思わざるを得ません。

ギーレンの、というだけでなく、またバーンスタイン以後、という括りだけでもなく、マーラー演奏史において、無視することのできない業績として、この録音を位置付けたいと思います。
録音・演奏・そしていわば未知の名曲であった第10番の真の姿を明らかにしたプロジェクトとして、必ず後世に残るものになるでしょう。
このサイトで紹介するものとして、やや価格は高いですが、マーラーの音楽を愛する方にはぜひお聴き頂きたいと思います。

(録音 2005年)

DISC Recommend
1 演奏 ★★★★★
2 録音 ★★★★★
3 不朽 ★★★★★
4 買得 ★★☆
5 必須 ★★★★★


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マーラー | コメント:2 | トラックバック:0 |

KENWOOD KH-C711(私がI PODで使用しているヘッドフォン)



なにを隠そう、私はKENWOODファンです。
いまでこそ同社のコンポーネント製品は、会社の執務室に置いているLS-300Gだけですが、過去にはさまざまな同社製品を使い、そのたびに感心してきました。

ひとことにいって、KENWOODの製品の長所は、価格対価値、バリューフォーマネーの充実が、とても良心的に図られている点にあります。
音質的な傾向は、さまざまな機器でほぼ一貫していて、クリアなのを前提に、低域の充実をけっして疎かにしない、というものです。そのために音色や定位は多少犠牲にされている部分もありますが、これは低価格機であればやむをえない点だとも感じます。
同社製品で、私がとても好きだったものには、DP-1100SG、KA-990EX、LS-300G(1001)、KT-1100Dなどですが、忘れてはいけないのが、I POD用ヘッドフォンとして使用しているKH-C711です。

この音はいいですよ!
作りも高級感があり、日常的にAccuphaseやLUXMANに接しているような人にもおススメできます。
もちろんI POD用イヤフォンとは次元が違う音で、低域の鮮やかなキレ、高域の華やかさ、中音域のエネルギー感、どれもこの価格帯では頭ひとつ分飛びぬけているようです。
難を言えばRLが暗所では判別しにくい点ですが、私はあまり気になりません。
ふだんオーディオを趣味にしているが、I PODも使用し、満足できる音質で聴きたいという方(私のこと)におススメです。

なお、ゼンハイザーやAKGのインイヤータイプ(耳穴に差し込むタイプ)のヘッドフォンは中間マージンがたっぷり取られていますから、同じような価格のものではまったく勝負にならないです。
このことは義憤とともに申し添えておきます(ドイツで買うときのあの安さをみたら……)。

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マーラー 交響曲第2番『復活』 小澤征爾指揮サイトウ・キネン・オーケストラ


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バーンスタイン以降のマーラー演奏を代表する、と私が思う最初の一枚がこれです。

小澤征爾は、渡米するまでマーラーに親しんでおらず、飛行機のなかでスコアをめくったという逸話があります。
それはとりもなおさず、わが国でのマーラー伝達の遅さを現してもいる事実ですが、それよりも重要なことは、小澤が、いわば外部の演奏家の影響を受けない状態から、マーラーを研究し始め、いまにいたっているということです。

その後彼は、ボストン響の音楽監督として長期政権を担うのですが、その寸前のステップとして、同じアメリカ5大オーケストラの雄、ニューヨークフィルを率いたバーンスタインに師事し、副指揮者をもつとめます。
ご存知のようにバーンスタインはマーラー演奏におけるパイオニアでありオーソリティでしたが、いわばその次に来る世代を代表するのが、小澤征爾なのです。
小澤はマーラーに、師バーンスタインより、より客観的な視点で接しているようでもあります。
ボストン時代の彼のマーラーは、激しい自己没入型のバーンスタインと較べると、やや味わいの豊かさにおいて欠ける趣もありましたが、反面、造形のしっかりとした、古典になりつつあるマーラーを実現していて好印象です。

いわばリセットされたマーラーということもできますが、さらにいまの小澤征爾がすばらしいと思うのは、リセットされた状態にも関わらず、音楽は自発的な内容を持ち、あくまでホットで、凝縮され密度の濃い音楽になっている点です。
彼はボストン時代にマーラーの全集を完成させ、そのなかでも8番など、たいへんな名演となっていましたが、ライヴならではの高揚も手伝って、ここではそれをすら凌駕する充実の音楽が聴かれます。
サイトウ・キネン・オーケストラという、いわゆる祝祭管弦楽団の中でも、トップクラスの実力を持つ技巧集団の、最良の姿を現す録音となっているのも、見逃せない点ではないでしょうか。このオーケストラの実力は、世界のトップ・オーケストラと比較しても遜色がないと思いますが、小澤が指揮したときにもっともよく反応するのもたしかなようです。

最終楽章の出来ばえも出色で、ライヴとも思えないほどに完成度が高く、ミスはほとんど見られませんし、スタジオ録音であったとしてもきわめて高レベルの演奏なのにも関わらず、エネルギーが縦横にほとばしり、オーケストラと指揮者が放つ気迫が、微粒子となって聴き手をうつようなすさまじい音楽です。
また、合唱の感動的な様子は、鳥肌が立つほどで、これに匹敵するのはクーベリック盤だけではないかとすら思えます。
ここには、かつて小澤のマーラーに、ややもすると指摘されていた、前述のような『味わいの乏しさ』は微塵も見られず、きわめて厳しい指揮でありながら、おそるべき前進力でマーラーの大作を駆動してゆく、雄渾な姿が収められているのです。

現在これほど感動的なマーラーを実現できるのは、おそらく世界に数人しかいないでしょうし、そのなかでも筆頭的な地位にいるのが、小澤征爾ということもいえそうです。
まっさらな状態から、あくまで自分の言葉で語ることを続けてきた、小澤征爾のマーラーは、結果としてあくまで正統的で、不純なものをすべて排除するような純度の高さを獲得したようです。
現代のスタンダードとなりえる名演中の名演であり、『復活』という大作の演奏史にも残るであろうプロジェクトです。
小澤征爾の音楽に生気がないなんて、誰がいったのでしょう?
私はこの音楽を聴いて、心から揺さぶられました。

さらには、これだけの名演が、演奏もスタッフも、我々日本人が中心となって実現されたことに、誇りを覚えます(この録音のクオリティは、特に弱音部の繊細さに、日本人の長所がよく現れてもいると思います。また合奏部での粒立ちの良い音も感動的です)。
ぜひひとりでも多くの、(世界中の方に)お聴きいただきたい名演です。

(録音 2000年)

DISC Recommend
1 演奏 ★★★★★
2 録音 ★★★★★
3 不朽 ★★★★
4 買得 ★★★
5 必須 ★★★★


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