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ベートーヴェン 交響曲第9番『合唱付き』 カラヤン指揮ベルリン・フィル【カラヤン祭6】


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カラヤン祭、最終回です。

カラヤンはベートーヴェンの交響曲のなかでも、3番『英雄』と9番『合唱』を得意としていました。
大編成の作品を好んで採りあげたカラヤンらしいことでもありますが、この全集中でも同様のことが言え、3番と9番は白眉の演奏となっています。
それにしても、ここでの演奏の充実度は、9番を得意としていたカラヤンにしても驚くべきもので、冒頭から痛いほどの緊張感に支配された迫真の音楽が展開されます。
一点に向かって、集中し、限りなく感情を凝縮てゆくような、とても厳しい音楽。
第二楽章にしても、やや余裕を持って運ばれていた1977年の録音とは違い、まさに鬼気迫る熱演となっており、尋常ではない様子に息を呑みます。
テンポの設定は、アンサンブルの精度を考えると、限界ぎりぎりまで速められているのがわかりますし、自分自身をすら追いこんでゆくような表現には、カラヤンの、老いとの戦いのようなものさえ感じさせ、背筋を寒くするほどです。
ベートーヴェンの作品中でも、もっとも敬虔な感情によって編まれている第三楽章のアダージョは、当時75歳を数えていたカラヤンの祈るような指揮によって、崇高といえるほど美しく高められています。
最終楽章は、ベルリンフィルのチェロ・コントラバス軍団が大活躍します。
まさにこのオーケストラで、しかもカラヤン時代でなければ実現しなかったであろうサウンドで、究極のシンフォニー、交響曲の奥義ともいえる作品の姿が明らかにされてゆくのには、感謝の思いすらしてきます。
あるいはこれは、カラヤンにとっても、音楽への感謝を歌いあげたものだったのかもしれません。
その一方で、第九の『合唱』は、人類全体に、大いなる精神的融和の可能性を示す、まさに空前絶後といえるメッセージを持った作品でもあります。
1987年のウィーン・フィルのニューイヤーコンサートで、カラヤンは
『平和を、平和を・・・・・・』
と語りました。
思えば二度の大戦や、その後に続く平和とはいえない時代を、その尊厳をみずから汚し、また傷つけられながら生き抜いてきたカラヤンならではの、万感の念に充ちた言葉だったことは、うたがう余地がありません。
ここでの、ベートーヴェン交響曲第9番『合唱付き』が、感動的な音楽となっているのも、不思議なことではありません。
そこかしこで、以前のカラヤンには見られなかった力みや、感情の欠片が聴き取れます。
われわれはそれに感動するのでしょうし、そうであるからには、この演奏を、名演と位置づけられないわけがありません。
もちろん、1962年の、すばらしく生気にあふれた名演を、われわれはすでに知っています。
そして1977年の、完璧無比ともいえるアポロの彫刻のような音楽も。
ですが、それらを差し置いても、ここにはやはり、特別な【なにか】があると申し上げなければならないようです。
その【なにか】を、わたしがここで言葉にしてしまうのは避けたいと思います。
聴かれた方々自身の言葉で、綴られるものではなければならないと思うのです。
それでこそ、究極の名演・名盤の名にふさわしいのではないでしょうか。

録音は全集中でも最良のものです。
伸びやかで美しいアコースティックサウンドで、声の質もよく収められています。

(録音 1983年)

DISC Recommend
1 演奏 ★★★★★
2 録音 ★★★★☆
3 不朽 ★★★★★
4 買得 ★★★★☆
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HMVへ限定入荷しました!! ブラームス 交響曲全集 バルビローリ指揮ウィーンフィル

限定入荷したようです!
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サー・ジョン・バルビローリは英国を代表する名指揮者でした。
彼のレパートリーはマーラー、シベリウスからブラームス、プッチーニなどにまで及びました。
エルガー等の英国音楽の演奏に関しては、同世代のビーチャム、ボールトらとともに権威の一人とされました。
ですが、バルビローリが彼らと異なるのは、クラシック音楽の中心地であるドイツ・オーストリア圏でこそ、むしろ高く評価され歓迎されたことにあります。
ここに聴くブラームスの全集は、そうしたバルビローリの最良の遺産のひとつです。

バルビローリのブラームスは、重量級を誇るものではありません。
むしろ歌心とデリケートな味わいに満ちた、優美な性格を持っています。
この全集中、最高の傑作が第4番だったのも、そうした事情が大きく関わってきていそうです。

以下、簡単な各曲のレビューです。

♪交響曲第一番
切り立った断崖のようなイメージのこの曲ですが、ここではすべてがやわらかく歌謡的といってよいほどで、美しい歌で満たされているような音楽になっているのがとても印象的。
情緒纏綿たる音楽はときおりやるせないほど美しくもあり、それがすべて哀しみに変化して聴き手の心を動かすようです。
第二楽章の暖かい歌は特にすばらしいですし、フィナーレ2:50〜の有名なコラールが、ここまで魅惑的に響くのも稀です。

♪交響曲第二番
全集中、第四番に次ぐ名演です。
この演奏を聴いてしまうと、ほかの指揮者の二番を聴いても、たいていが荒々しさを残したものに感じられて困ってしまうほど、優美な仕上がりです。
バルビローリの人間味あふれる音楽性とウィーンフィルのきめ細やかなサウンドが稀有のマッチングを見せ、ブラームスの詩情をよく表現しています。
雨上がりに木漏れ日が射し始めたような第二楽章が、息をのむほど美しいです。

♪交響曲第三番
ブラームスの『英雄』シンフォニーと呼ばれる第三番も、バルビローリの手にかかると、いかにも成熟した老巧の作として聴こえます。
デリカシーに富んだ手つきで扱われているので、この作品がすみずみまで神経の行き届いた傑作であると、聴き手に再認識させる力を持っています。

♪交響曲第四番
これこそ出色の出来栄えで、ウィーンフィルの美質を最大限発揮させた第一楽章からすばらしい。
涙を引きずるような音楽が奏でられ、つねに振り返りつつ過去をふりきって進もうとする第一楽章は、そのままでも充分感動的な音楽になっています。
その足取りの悲しさは、類を見ません。
第二楽章はブラームスが書いたもっとも美しい緩徐楽章のひとつですが、最上級のシルクのような肌触りを見せているウィーンフィルの音色が、すぎさってゆく【時】への愛惜を全部音にしてしまったような音楽を造っています。
やや騒がしい楽想でもある(そしてそれが空々しく寒くもある)第三楽章を、バルビローリほど気品のある音楽として成立させている指揮者を、私は知りません。
そして、すべての心の故郷が、失われ、崩れ去ってゆくようなフィナーレ。
あらゆるフレーズが有機的なつながりと響きをもって、聴き手の心に響いてきます。

♪管弦楽曲
ハイドン変奏曲は丁寧に演奏され、堂々たるフィナーレを持っています。名演の部類でしょう。
大学祭序曲に、私は正直惹かれないので、これについては述べる資格がありません。
悲劇的序曲は、ブラームスの天才を感じさせる演奏になっていて、やはり佳演であると感じました。

これらの七曲を収めた当全集は、バルビローリという指揮者にとっての傑作というだけでなく、ウィーンフィルのブラームス全集としてもきわめてすぐれた記録であり、聴くほどに含蓄のある名演であるといえます。
私がブラームスの交響曲を聴く際に、いちばんよく手に取る演奏でもありますが、この時期のEMIの柔らかな録音が、ウィーンフィルの最良の姿をよく記録しているのも魅力です。
入荷には時間がかかるかもしれませんが、ぜひお聴きいただきたいセットであり、十年単位での鑑賞にも堪える優れた内容を持っていると思います。

きわめて廉価でもありますし、これ以上、近しい心で接することができるブラームス全集は(個人的には)ないとさえ思っています。

もはや古典的名盤ながら、私の手で屋上屋を架けさせていただきます。
国内盤の復活も熱望します。

(録音 1966-67年)

DISC Recommend
1 演奏 ★★★★★
2 録音 ★★★☆
3 不朽 ★★★★★
4 買得 ★★★★★
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