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マーラー 交響曲第5番 カラヤン指揮ベルリンフィル


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マーラーの5番。
彼の作品のなかでは、もっともポピュラーな曲でしょう。
傑作映画『ヴェニスに死す』に使われて、一成を風靡したのが、1970年ごろ。
そのころにショルティの爆発的名演が出て、彼とシカゴのコンビが一躍有名になりました。
カラヤンの録音はその三年後。
この指揮者にして、初めてのマーラーとなりました。

静謐なトランペットの序奏から、急峻な渓谷をゆくような第一楽章。
一体の塊となって突進する第二楽章。
これらの第一部は、まだマーラーの語法に馴染みきっていない指揮者とオーケストラが、苦闘の末ねじ伏せたという印象を与えてきます。
ですがそれが、かえって新鮮で、爽やかな激動とも感じられるのです。

第三楽章(第二部)は後年、カラヤンがマーラーに見せた適性を、すでにそこここで窺わせています。
魔法のような楽しさ、ファンタジーの世界に遊ぶような足取り、冗長な楽章を退屈せずに聴かせる、数少ない演奏がこれです。

第四楽章から音楽は第三部に入ります。
精緻と流麗とを極めた指揮芸術の精華を聴く思いです。
銀色の滝に、心が吸いこまれてゆくような、不思議なくらい惹きつけられる音楽です。
何度聴いても、自分でも奇妙なほど心を動かされます。

そして最終楽章です。
すべての苦悩や桎梏を浄化するような爆発と開放のフィナーレになっています。
とくに13:55〜はあらゆる演奏の中でも特別の魅力を持っていて、私はこれを聴いてしまうと、たとえバーンスタイン盤がいかに素晴らしいとはいっても、こちらを取らざるを得ません。
全盛期のカラヤンとベルリンフィルだからこそできた、大団円の演出であり、感動であろうと思います。
これは、マーラーをようやくひとつ制覇したという、カラヤンの心の叫びであったのかもしれません。

オリジナルスとなってリマスタリングも成功し、録音はまずまずです。
全体に無難ですが、前半では響きがやや混濁しがちなのが気になります。
ただ、章を追うごとによくなってゆき、第四楽章アダージェットでは悪魔的なまでに美しい音色を再現していて驚かされます。いまもってこの楽章の最高の録音ではないでしょうか。
第五楽章も、音の分離がいまいちである為、かえって塊感のある音楽となり、迫力の点で申し分なく思います。

かなりの廉価といえますから、カラヤン初の記念碑的マーラーというだけでなく、純粋なマラ5演奏史に残る名演としても、マストアイテムといえるでしょう。

(録音 1973年)

DISC Recommend
1 演奏 ★★★★
2 録音 ★★★
3 不朽 ★★★★★
4 買得 ★★★★
5 必須 ★★★★★


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