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クラシック音楽CDから、不朽の名盤(&廉価盤)にふさわしいものを点数付で紹介してゆくブログです。初心者の方も歓迎です。新潟でのコンサートレビューもあります

チャイコフスキー 後期交響曲集(4-6番)、ロミオとジュリエット他 バーンスタイン指揮ニューヨークフィル他


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チャイコフスキーの音楽は、北国に住む人間に特有のリリシズムと、彼生来のロマンティシズムと、魅惑的なメロディの散乱が特徴です。

彼は魅力的な旋律を作らせたら、右に出る人がいないほどのメロディの名手でした。
チャイコフスキーのほか、ドヴォルザークやマーラーなどといった、スラブ系の作曲家は、皆根底にメロディ・旋律を重視して作曲を行っていたらしいことも、作品を聴くとよくわかります。

チャイコフスキーの交響曲でよく聴かれるのは、後期の三つ(4-6番)ですが、これを得意とした指揮者がやはりいて、たとえばカラヤンも何度か名演を残していますし、旧ソ連の神格化されたマエストロ、ムラヴィンスキーのあまりに有名な録音もあります。
ただ、カラヤンの1970年代の録音は、後述するように5番が二枚にまたがって収録されていますし(残念)、ムラヴィンスキーは録音が1960年とやや古いです。決して聴きづらい音ではありませんが、ファーストチョイスに薦めるにはややためらいます。

そんな事情もあって、これらのシンフォニーを、私はバーンスタインで聴くことを好みます。
レナード・バーンスタイン(愛称はレニー)はロシア系ユダヤ人で、いうまでもなく、アメリカで初めて誕生した大指揮者でした。

彼の激しすぎるほどのロマンティシズムの表出と、極限まで自己没入し、感情移入をおこなって、旋律を歌い尽くそうとする指揮ぶりは、ここで最高の結果を生んでいます。

かつて自分が率いたニューヨークフィルとの録音では、晩年に次々と傑作を残していますが、このチャイコフスキーも決して忘れられないものでした。
4番の激烈な情熱、(皮相になりがちな)5番の真に雄大勇壮な表現、感情のドラマをすべて音符に込めようとするかのような、振幅の巨大な6番『悲愴』。
ここで聴かれる『悲愴』のアダージョや、5番の第二楽章『アンダンテ・カンタービレ』を聴いてなにも感じない人は、音楽的不感症といわれてもやむをえないのではないか?と思うほどです。

どれもがかけがえのない名演ですし、バーンスタインという指揮者をよくあらわしているともいえます。
また、特筆すべきなのが『ロミオとジュリエット』序曲で、実は私がチャイコフスキー作品で最も愛しているこの小品を、バーンスタインほど濃厚でドラマティックに演奏した指揮者はいないでしょう。
彼にはイスラエルフィルとの録音もありますが、こちらは気合が空回りするような残念な出来栄えで、このセットに収録されているニューヨークフィルとの録音には及びもつきません。
賢明なことに、あえてニューヨーク録音が収録された意味でも良心的なセットであり、この価格なら大推薦できる内容をもっています。
また、多くの後期交響曲集が、二枚組として売られ(そのこと自体は、価格を抑える意味でいいのですが)、なかでも人気曲の5番が二枚にまたがって収録されていることがとても多いことを考えても、すべての曲が一枚ずつに収録されている本セットの価値は大きいです。

一枚あたり1000円にも満たないのですから、買い得度はかなりのものですよ。
さらに録音も、ニューヨークフィルをとったドイツグラモフォンの録音では、同じ指揮者のマーラー以上の状態で、個人的にはこのレーベルでも最高の録音のひとつ思います。
チャイコフスキーの音楽は、オーケストラのドラマティックな響き、壮大な響き、メロウな響きと、オーディオ・ファンにとっては満腹にさせてくれる要素をたっぷり持ってもいますので、その意味でも注目されてよいと思います。

(録音 1984-89年)

DISC Recommend
1 演奏 ★★★★☆
2 録音 ★★★★☆
3 不朽 ★★★★
4 買得 ★★★★☆
5 必須 ★★★☆


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チャイコフスキー | コメント:4 | トラックバック:0 |

ブラームス 交響曲全集 カラヤン指揮ベルリン・フィル(1977年)


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ブラームスの交響曲ほど、海のような奥深さを感じさせる音楽があるでしょうか?
夜、静かに一人で音楽を聴こうとするとき、ブラームスをいちばん求めてしまいます。

何度聴いても、自分がいかにこの音楽を浅薄に理解したつもりになっていたのか、を知らされます。
いつ聴いても、飽きることがなく、聴くほどによさをますます味わえるようになる、という点でも、ブラームスほどの作曲家は、私にとってはいません。

長く苦しい旅の、終わりを感じさせる第一番の素晴らしさ。
暖かい心と生命の健やかさを感じさせる、私が最も愛する第二番(ブラームスの『田園』とも呼ばれる)。
おそるべき旋律の美しさと、決然とした推進力を兼備した第三番。
すべての物語に、終幕の鐘を鳴らすかのような、言葉を失うほど美しい黄昏の音楽である、第四番。

カラヤンは、ベートーヴェンやチャイコフスキーも得意としていたが、ブラームスにもっとも体質的な相性のよさを感じさせる指揮者でした。
彼はドイツ・グラモフォン(DG)に三度、全集を録音していますが、この二度目の全集が白眉であり、最良の状態で録音されています。

ベルリンフィルの磨き抜かれた音は、ややメタリックに聞こえてしまうほど輝かしく、もはやヴィルトゥオーゾ(巨匠)の粋に達しているトップ奏者たちの名人芸もそこかしこに聴かれます。

テンポは完璧なバランスで設定され、気品ある美しさと劇性の絶妙なバランス(しかも、そのどちらもが最高に演出されています)を創り出し、ブラームスの音楽のすべての要素を、万全に表現して隙がないものです。

オーケストラの音色は、特にそのフィナーレでは、黄昏の黄金色のように照り映えて、匂うばかりに美しい音の洪水となっています。
カラヤンの指揮が、高貴な悲しみと強靭な意志とを、完全にブラームスの音符と同化して奏で、それをアナログ完成期の録音が、見事に捉えています。

ブラームスの交響曲全集はあまたありますが、全四曲をすべて高い次元で演奏しているものはほとんどありません。
また、柔と剛ともいえる、ブラームスの音楽の両方の特質を、双方ともに十全に表現できている演奏となると、砂丘からダイヤを探り出すような少なさです。

このなかで、柔(言い換えれば、歌)に傾いた名演の最右翼が、バルビローリ/ウィーンフィルと言え、剛に傾いた傑作が、ヴァント/北ドイツ放送響といってもよいかと思えます。

それらの名演ももちろん、捨てておくには惜しいものばかりです。
しかし、この全集に見るカラヤンの指揮と、ブラームスの音楽との同質性は、ほかでは見られないものです。

絶頂期にあったベルリンフィルの凄絶なまでの力演ともあいまって、この録音が神秘的ともいえるほどの完成度に達してるゆえんです。

また、特筆すべきことにこの盤は、二枚組に収められています。
OIBPによるリマスターも成功しているようで、たとえば第一番のフィナーレにおけるホルンのコラールは、空間性を意識させる響きをよく出していて、感動的な名演に華やかな彩りを添えています。

そのお買い得度も含めて、なにを措いても真っ先に聞かれるべき名セットといえるでしょう。

(録音 1977年)

DISC Recommend
1 演奏 ★★★★★
2 録音 ★★★★
3 不朽 ★★★★
4 買得 ★★★★★
5 必須 ★★★★★


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