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クラシック音楽CDから、不朽の名盤(&廉価盤)にふさわしいものを点数付で紹介してゆくブログです。初心者の方も歓迎です。新潟でのコンサートレビューもあります

シシュ ヴァイオリンコンサート(第四銀行株主限定) 2008/7/17於りゅーとぴあ

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☆プログラム☆
クライスラー プニャーニの様式による前奏曲とアレグロ
ラフマニノフ ヴォカリーズ
サン・サーンス 序奏とロンド・カプリチオーソ
クライスラー 愛の悲しみ 愛の喜び
サラサーテ ツィゴイネルワイゼン
フランク ヴァイオリンソナタ
(伴奏P 中島由紀)

第四銀行株主限定ということで、上記のコンサートに行ってまいりました。
マリナ・シシュはフランスの若手ヴァイオリニスト。入りは8割ほど。
まだ27歳ということで、私よりも年下です。オイストラフの孫弟子にあたるそうです。
まったく期待せずに行ったコンサートでしたが、思わぬ拾い物をした気分になりました。

音色は豊潤で、ムターの若い時分を見るような趣もあり、そこにいかにもフランス的猫気質な(というべきでしょうか)気まぐれな気高さを見せていて、きわめて魅力的な奏者でした。
テクニックはまだ未完成な部分も散見され、演劇的にいうなら「発声の子音がときに甘い」ように聴こえる箇所もありましたが、それを補ってあまりある馥郁たる音楽を奏でていて、またその弾き姿も美しく(プログラムの写真よりもずっと)、こんなによいヴァイオリンリサイタルは久しぶりでした。

なかでも内容が充実していたのは『クライスラー プニャーニの様式による前奏曲とアレグロ』で、気品ある音色と、曲との同質性を如実に感じさせる燃焼度の高い音楽で、期待していなかった私をも、一気に自分の世界に引きずり込んでくれたと思います。

ただ、サラサーテでは、伴奏の中島女史との息がいまいちあっておらず、そのせいか技術的ほころびも数箇所聴かれたのは残念でした。
また、後半に置かれた、フランクのソナタは、私がこの曲をいまだに魅力的と思えないため、今回聴いても、どうにも手応えのなさが残る結果とはなりましたが、これは私(聴き手)の問題ですから仕方ないことでしょう。
うちの嫁さんも、ばらばらの小品を繋ぎ合わせたみたいなソナタ、といっておりましたから、私だけの感想でもないとは思うのですが。

ともあれ、全体にはとても上質のコンサートで、また心配していた聴衆マナーも比較的よく(フランクの途中で一度拍手はありましたが)、存分に楽しめました。
すぐれた奏者だと思いますし、これからまだまだ伸びそうです。
シシュは機会があればまた聴きたいですね。

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ツィマーマン(ツィメルマン) ピアノリサイタル 2008/7/12 於りゅーとぴあ

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☆プログラム☆
J.S.バッハ:パルティータ ハ短調(第2番)
ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第8番「悲愴」
ブラームス:四つの小品 Op.119
バツェヴィチ:ピアノ・ソナタ第2番

いよいよ現代最高のピアニストのひとりである、ツィマーマンのソロリサイタルが新潟市でも聴ける!
彼の大ファンで、これまで5回にわたりリサイタルに通っているという、私の大学時代の恩師(S教授とします)も他県より遠路駆けつけ、開演を待ちました。
駐車場にも県外ナンバーの車が多いように思えます(熊本、京都なども)。

バッハは、音符のすべて、音楽の隅々にまで、高潔で崇高な感情が息づいているような演奏。
音そのものはきわめてなめらかで、ベルベットのような肌触りなのですが、一方でつねにほのかな暖かさを失うことなく、バッハを聴く喜びを感じさせるピアノでした。

ベートーヴェンは、第一楽章の弱音の美しさに、魂が吸い寄せられるような感動を覚えました。
銀色の月の雫が垂れるような、この世のものならぬ美しさの限りで、このような音楽であったのかと、目をみはる印象でもあり、落涙を禁じえないだけのものがありました。

後半のブラームスは高雅でたおやかな情感を大切にして、緻密ながら音楽性豊かに織り上げられた演奏で、よく弾きこまれていることを実感させました。コヴァセヴィッチに同曲の名演(Philips、1969年)がありますが、その録音に近い印象を与える演奏で、ツィマーマンの円熟を感じさせたものです。

バツェヴィチはたいへんな技量を要求する難曲ですが、その技巧の冴えは素晴らしく、またポーランド作曲家独特のパッションの発露と、女流ならではの繊細なきらめきの音を遺憾なく再現しており、ぜひとも録音してほしいと思わせる名演でありました。

なお、アンコールにはシマノフスキが演奏され、これも白熱したもので、スタンディングオベーションの嵐となりました。

全体にミスタッチを少しも恐れない青年のような果敢さで(それは私が彼に持っていた完璧主義者という先入観を、いい意味で覆してくれるものでした)、崇高な音宇宙の世界を表出させており、ツィマーマンのリサイタル初体験の私は、大いに感動・満足して帰路につきました。
ぜひ機会を見つけてまた聴きたいピアニストです。

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東京交響楽団 第49回新潟定期演奏会 2008/7/6 於りゅーとぴあ

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指揮/金 聖響
ソプラノ/澤畑恵美
メゾ・ソプラノ/竹本節子
合唱/にいがた東響コーラス、合唱指揮/山神健志

♪シューベルト:糸を紡ぐグレートヒェン(Sop)
♪シューベルト:アヴェ・マリア(Sop)
♪シューベルト:魔王(M-sop)
♪マーラー:交響曲第2番 ハ短調「復活」

『復活』を聴くのは何回目だろう?
実演でも数回聴いているし、録音では数百回だと思います。
過去に縁があって、さる仕事でこの曲にかかわり、入手できる録音はすべて聴き尽くすほどになりました。
ですが私は、この曲を、おおむね凡庸な楽想しか持たぬ作品だとも、近頃は特に思うのです。
もちろん、マーラーの天才が発揮されている部分もあって、第一楽章の途切れない緊張や、音楽が凝縮されて詰まっている第三楽章などはすばらしいと思います。
しかし、第四楽章などいかにも陳腐ですし、最終楽章の幼稚さには目を覆うべきものすらあります。
いそいで断っておきますが、だから駄作なのではありません。
陳腐さと低俗さ、それと、高貴で独創的なものがアマルガムとなっているのが、マーラーの特色でもあるのです。
そしてそれが、とにかくすべて最高に濃い味付けをされている、というのが、私のマーラー作品(特にその初期)における印象です。
しかし、それは真に偉大な指揮者によって再現された場合にのみ、魅力的な料理と思うのであって、その意味では今回の演奏、私には残念なものでした。

金 聖響という指揮者は、このたび初めて聴きました。
これが彼のベストパフォーマンスではないと思うのですが、ときに意図のわからないフレージングやテンポのタメがあり、そのたびに聴き手である私は緊張を殺がれてしまいます。
オーケストラもよく付いて行っているとは思えないし、そうすると指揮者の独りよがりに聴こえて仕方ないのです。
あるいはキャプラン版の成果であろうと推察される箇所がいくつかありましたが、あきらかに未消化で、流れを阻害してしまっています。そうするとこの大曲を、飽きずに聴きとおすことが、そもそも難しいのです。
まじめな指揮者であることはわかります。そのことは、第一楽章の後に、楽譜どおりの休憩を入れたことでも明らかです。
ですが、合唱の扱いも含めて、どうにも楽器・声とのバランスも良くなく、また弦・管との調和も取れていたとは言いがたい。
アンサンブルにも少なからぬ乱れがあって、いつもの東京交響楽団のレベルからすると、疑問が残ります。
数年前、井上道義がこのオーケストラを指揮して、見事な『復活』を聴かせてくれました。それに比較して、数段落ちる出来栄えと思います(その井上ですら、リハーサル時には表現できていたマーラーの深奥のミステリアスな部分を、本番中にはついに出現させられなかったのですが)。
また、井上のときと比して、オーケストラに常に余裕がなく、それが美的とはいえない響きを随所で響かせてしまっていたのも悔やまれるところです。
追い討ちをかけるようですが、Msの竹本節子女史の歌も、あまりにオペラティックすぎ、いわば【祈り】の音楽であるはずのものを、台無しにしてしまっている印象でもありました。
いろいろ苦言を並べてしまいましたが、金氏はまだ若い。
ぜひリベンジを期待したいところです。

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東京交響楽団 第48回新潟定期演奏会 2008/5/18 於りゅーとぴあ

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指揮 ユベール・スダーン
ピアノ リーリャ・ジルベルシュテイン

☆プログラム☆
シューベルト 交響曲第1番
プロコフィエフ ピアノ協奏曲第3番
シューベルト 交響曲第4番

われらが音楽監督のスダーン登場で、いやがおうにも期待が高まりました。
シューベルトの交響曲は、作曲家の若々しいロマンを表現していて十全の出来ばえでした。
緊密でしなやかなアンサンブルは、やはりスダーンならではでしたが、オケの音色の進歩も光っていたように思います。
スダーンが音楽監督に就任してから、たしかに進歩を続けているように感じられます。

しかしながら、この日の白眉はプロコフィエフ。
これはロシア作曲家のピアノコンチェルトでも屈指の名曲であると思いますが、演奏効果をあげるのには、たいへんな技巧が要求されます。
ジルベルシュテインはそのハードルを楽々とクリアしているようで、唖然とするほどのテクニックを披露してくれましたし、どちらかといえば甘口ではなくハードなタッチで弾ききっており、女流らしいたおやかさよりも、ヴィルトゥオーゾ的な醍醐味をまざまざと見せつけてくれて圧巻でした。
最終楽章の追い込みもめざましいほどで、あざやかに弾ききってくれて会場はブラボーの嵐でした。
解釈もごく正統的で、即興性や発見には乏しいですが、正道をゆく見事な音楽でした。

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東京交響楽団 第47回新潟定期演奏会 2008/4/27 於りゅーとぴあ

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指揮 シャン・ジャン
ヴァイオリン イダ・ヘンデル

☆プログラム☆
ベートーヴェン 序曲『レオノーレ』第3番
シューマン 交響曲第4番
ベートーヴェン ヴァイオリン協奏曲

シャン・ジャンの放埓なエネルギーの熱波にやられてしまった演奏会でした。
『レオノーレ』から、すでにいつもの東京交響楽団では聴けないほどの音楽的高揚を見せていたので、それだけでも満足に値するコンサートでしたが、さらに素晴らしかったのがシューマンの4番でした。

あらゆる意味で極度にロマンティックながら、いささかも推進力を犠牲にしない演奏で、目を見張るようなバイタリティと弾性で迫ってくるのには、感銘を通りこして驚異的ですらありました。
ある意味で、かなり即興的なのかもしれませんが、才能のきらめきを随所に見せている見所のとても多い指揮であって、そのせいもあったのか、オケに些細な事故は何点かありましたが、集中して聴き通してしまっていたため、ほとんど気にならないようなものでもありました。
なるほどこのような演奏でこそシューマンの音楽が活きるのだ、と実感させてくれる実に豊かな体験でした。

後半のベートーヴェンのコンチェルトはいささか私の理解を超えています。
老人の音楽であって、まともに弾きとおす力を失っているのが明白でした。
それを人間博物館の展示のようにありがたがる風潮には疑問を感じます。

ですが、シャン・ジャンの指揮はぜひともまた聴きたいものです。
音楽を聴く喜びをこれほど身近に感じさせてくれる指揮者は、本当に稀ではないでしょうか。

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