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クラシック音楽CDから、不朽の名盤(&廉価盤)にふさわしいものを点数付で紹介してゆくブログです。初心者の方も歓迎です。新潟でのコンサートレビューもあります

ドビュッシー 『海』ほか管弦楽曲集 アンセルメ指揮スイス・ロマンド管弦楽団


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アンセルメのフランス音楽には、彼らしい明晰な視線と、趣味の良い香気が感じられる名演ぞろいです。
スイス出身の彼は、数学者でもあった経歴を持ち、その後指揮者に転じました。
ここでの録音は、そうしたアンセルメが設立したスイス・ロマンド管弦楽団によるものです。
彼はドビュッシー、ラヴェル、ストラヴィンスキーなどとも交流があり、その意味では作曲者直伝の解釈をも授かった、まことに貴重な存在でした。
ですからここに聴くドビュッシーも、衆目の認める名演になっていることは、言を待たないところであります。

第一曲目の『牧神の午後への前奏曲』の味わいの豊かさも見事ですが、白眉は『海』で、この有名曲を、アンセルメはあくまでクリアな視座を保ちながら、デリカシーに富んだ手つきで扱っているのに気づかされます。
結果として、演奏は馥郁たる香料を多量に含みながらも、すっきりとした見通しのよさをも併せ持った、稀有の充実を見せています。

この録音のリリース以降、演奏者にもリスナーにも、一種のリファレンスとしての地位を固めたといわれるだけに、現在でもこのレベルに達している演奏は、驚くほど少ないのです。
ですからこのアンセルメの演奏から、茫洋と広がるドビュッシー作品の海へと漕ぎはじめることで、ある意味では理解の難しい面もある、この印象派の巨匠の正確な姿へ、近づくための近道をゆけそうです。

また、玄人筋に評価が高いのは、むしろ『夜想曲』で、たしかにニュアンス抜群の美演ですから一聴の価値があります(ただ、惜しむらくは他の収録曲に比して録音がやや落ちます)。

録音は目を見張るほどのものです(特に『海』は素晴らしいです)。
さすがにヒスノイズは否定できませんが、音のソノリティは50年近く経ったものとは思えないほど生々しく、目の前に迫ってくるかのように録られています。
やはりDEECAの技師チームのレベルは高いものがあります。

価格も1000円という廉価盤ですから、ぜひご入手ください。

(録音 1957、64年)

DISC Recommend
1 演奏 ★★★★
2 録音 ★★★★
3 不朽 ★★★★☆
4 買得 ★★★★☆
5 必須 ★★★★


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ラヴェル バレエ音楽『ダフニスとクロエ』全曲他 小澤征爾指揮ボストン交響楽団


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小澤征爾がボストン響の音楽監督に就任し、ラヴェルの作品集を録音したことは先日書きました。
そのなかから、傑作バレエ音楽『ダフニスとクロエ』を収めた一枚。

有名なディアギレフの依頼を受けて作曲されたこの作品は、1912年にパリで初演されました(指揮者はモントゥー)。
内容はラヴェルの傑作とも言われ、フランス音楽の中でも特別の地位を占めるにいたっています。
主題に統一性を持たせ、交響曲のような循環動機の使用を図っていますし、いかにもラヴェルらしく、知性と音楽性の両立が取れていて、聴くほどに惹きつけられます。
また、彼の作品中でも、もっとも豪奢な響きを持っていて、音を聴くこと自体が耳のご馳走ともいえるほどです。

小澤征爾とボストン交響楽団の演奏は、ここで洗練と豪奢・華麗の三位一体をきわめています。
ラヴェルの、一見複雑な書法も小澤の手にかかるととても見通しのよい、聴きやすいものになるから不思議です。
また、歴代フランス系指揮者によって薫陶を受けたボストン交響楽団の響きの美しさは、筆舌に尽くせません。
けっしてフランスのオーケストラに劣るものではないです。そればかりか、彼らフランス系のオーケストラに較べて、メカニクル的な優位性を持ちつつ、洗練された音色は、たいへん魅力的なのです。

私は『ドルコンのグロテスクな踊り』がとても好きなのですが(笑)、ここでの小澤&ボストン響のコンビは、ゆくところ可ならざるものは無し、という闊達自在の冴えを見せています。
他の曲に関しても、欠点を探すのが難しいほど精密に磨きぬかれた演奏で、しかも小澤征爾らしくホットな勢いをも決して失っていないのには唸らされてしまいます。
また、合唱のあつかいに長け、そのサウンドの良さを巧みに引き出している点も注目されます。

録音は、先日取り上げた管弦楽曲集に較べて、わずかに後塵を拝するものの、充分に素晴らしく、輝かしいものです。もともとオーディオ的な魅力も存分に持っている曲ですから、その意味でも楽しめます。
このアルバムと、先日の『ボレロ』その他を収録したアルバムとで、ボストン響&小澤征爾のラヴェル作品集は、ほぼそろえることができます。
たいへんな力作、傑作でありますし、記念碑的録音の集成でもあるこれらのアルバムを、ぜひ多くの方にお聴きいただきたいと思っています。

(録音 1973年)

DISC Recommend
1 演奏 ★★★★
2 録音 ★★★★
3 不朽 ★★★★
4 買得 ★★★★★
5 必須 ★★★★


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ラヴェル 『ボレロ』『亡き王女のためのパヴァーヌ』他 管弦楽曲集 小澤征爾指揮ボストン交響楽団


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現在、ウィーン国立歌劇場音楽監督として世界の楽壇の頂点に立つ小澤征爾。
彼をはじめて認めた地は、フランスでした。
とりもなおさず、フランス音楽との相性のためです。

その小澤が、ボストン交響楽団の音楽監督に就任して、はじめてつくりあげた大作が、ラヴェルの管弦楽曲集でした。
ブラームスやベートーヴェンより、ラヴェルの大きなアルバムを作る。
これは、いかにも小澤らしいゆき方といえますが、ボストン交響楽団がかつて、フランスの名指揮者シャルル・ミュンシュに率いられていたことも関係しているのでしょうか(いうまでもなく、ミュンシュは小澤の師ともいえる存在でした)。
ここに聴くアルバムは、そのなかから、主にバレエ曲『ダフニスとクロエ』『クープランの墓』以外のものを抜いた集成です。

ここでの小澤の指揮は、彼らしくとても精密でありながら、一方で決して堅苦しくはなく、むしろ若々しい力がみなぎっているようです。
また、スタジオ録音にも関わらず、熱気のある音楽としていて、その点でも、小澤征爾の指揮の特徴が、はやくも現れてきていることに、まずは驚かされます。
モントゥーやミュンシュといったフランス系指揮者によって薫陶を受けた、ボストン響の素晴らしい響きも、このアルバムの大きな魅力です。

『道化師』など、小澤の正確無比・運動性抜群のタクトにいかにもマッチしていますし、『ラ・ヴァルス』のオーケストレーションの妙技をすべて明らかにするような(それが分析的【音学】になっていないのも好ましい点です)構築性も見事です。

『スペイン狂詩曲』ではエネルギッシュな喧騒とエキゾティシズムを余すところなく再現していますし、あの有名曲『亡き王女のためのパヴァーヌ』では、ボストン響の木管部隊のチャーミングな音色をよく活かしています。また、全体に、弦楽合奏の精度が極めてよく、音色がまことに艶やかです。

そうそう、冒頭の『ボレロ』も実演さながらの熱気に満ちた名演といえます。

全体に、ボストン響の演奏はレベルがとても高く(現代の同楽団より上では?)、ラヴェルの傑作郡を華やかに彩っています。
それを克明にとらえ、空気感に富んだ録音も、70年代の同レーベル中屈指のものとして特筆できますし、なにより小澤征爾の指揮が、これらの音楽を隅々まで創意と生命力で照らし尽くしていて、興趣が尽きません。

デュトワやブレーズ、クリュイタンスも良いですが、未聴の方、ぜひ小澤征爾のラヴェルを聴いてください。
世界にアピールする為の【小澤=ボストン響】グラモフォン・デビュー盤として、たいへんなやる気のなか完成させられた本アルバムは、それだけの価値が充分にあります。
小澤征爾、ボストン交響楽団、ドイツ・グラモフォン三者にとって、自信作であり力作であったことは疑う余地がありません。
決して聴き逃してはいけない、記念碑的名演なのです。

次回はこの録音とのセットである『ダフニスとクロエ』をとりあげようと思います。

(録音 1974-75年)

DISC Recommend
1 演奏 ★★★★☆
2 録音 ★★★★★
3 不朽 ★★★★
4 買得 ★★★★★
5 必須 ★★★★


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